弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第９期】

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石垣さんに頭を下げられた私は、慌ててしまって金城先輩と石垣さんに視線をいったりきたりさせるしか出来ない。

金城先輩が私に『どうする？』と、片眉を綺麗に上げて目で語っているけど、どうするも何も･･･。


私はこの石垣さんに何かされたわけではないし、許さない選択肢なんて無いんじゃないかな？

手を繋いでくれている手嶋先輩を見上げると、好きにしていいと言うように頷いてくれる。




「あ、あの。い、石垣、さん？私、真紅・クリスといいます。えっと、平気です。気にしてません」

「っ！あ、ああ。ありがとう。･･･ところで、クリス、さん。１つ聞いてもええやろうか？」

「は、はい。何でしょうか？」

「えっと。そのな。今着てるジャージ。総北のレギュラージャージに見えるんやけど･･･。まさか･･･」




石垣さんは戸惑った様子で私のレースジャージを指差しているので、コクコクと頷いてみると何故か絶望したような表情になってしまった。

金城先輩に視線を上げた石垣さんは、キッと金城先輩を睨みつける。




「･･･金城。何でこんなか弱い女の子を出すんや。今日のレースはインハイなんやぞ？しかも３日かけて走るロングライドのステージレースや。中には荒々しい奴だっておる。怪我でもしたらどうするんや！」

「姫を含めた俺たち総北は７人でひとつのチームだ。･･･心配なのは理解出来るが、１人でも抜ければそれは総北チームではない」

「金城先輩･･･」




嬉しい･･･。


私がいなければ総北チームじゃないって、そう思ってもらえている。


石垣さんは悔しそうに顔を歪めているけど、きっと私の心配をしてくれているんだと思う。

とても優しくて、いい人･･･なんだろうな･･･。




「あ、あの。ご心配ありがとうございます。でも私、みんなのために頑張るって決めて、ここに来たんです･･･っ」

「･･･っ。そう、なんか･･･？無理してへんのやな？」

「は、はい。とても緊張はしています･･･。でも、３年生の先輩たちと走るインターハイはこれが最後なんです。私、みんなでゴールしたいです･･･っ」




思わず両手を握って胸の前でファイトのポーズをしてしまった私に、石垣さんはきょとんとした顔をした後、『そうか。･･･頑張りや』と困ったように微笑んでくれた。

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