０６ ページ6
やっぱりこっちのお部屋は２組お布団を敷くと、３組目は敷けない広さだった。
私がみんなのコップを回収してダイニングに戻ると、また聞こえないくらいの声音で３人がお話していたけど、深夜だから気を遣ってくれているのかも。
洗い物だけ終わらせていると、パタンとドアを閉める音がして、振り返ると青八木先輩だけが出てきていた。
「･･･２人、もう寝る」
「あ。そうなのですね。おやすみなさい言えませんでしたね」
「･･･ん。気にしない」
「ふふ。はい。洗い物終わったのでもうおやすみしましょうか」
「･･･ん！」
ふわりと微笑む青八木先輩はやっぱり落ち着くなぁ。
そう思いながら、さっきいたお部屋の隣りのドアを開けて寝室に入ると、ベッドの脇にあるクッションを１つ抱えて枕の隣りに置く。
それから先にベッドの壁側まで寄ってから青八木先輩にどうぞと声をかけると、青八木先輩は戸惑った様子でゆっくりとベッドに入ってきた。
「･･･ちょっと、緊張してる」
「え？」
「･･･女の子の部屋で、寝るの初めて」
「あ、そうですよね。合宿は畳のお部屋にお布団敷いてましたしね」
そうお返事すると、少しお話がずれたようで困ったように微笑まれてしまった。
小さなライトにしてベッドに向かい合って横になると、青八木先輩と視線が絡み合う。
「･･･手、繋ぐ？」
「いいんですか？」
「ん」
向かい合っているから、私のベッドに乗っている右手に青八木先輩の手が上に乗せられる形で手を重ねた。
やっぱり先輩の手はぽかぽかで、少しずつ眠気が降りてくる。
「誰かに･･･手、握ってもらうの･･･、落ち着き、ます･･･」
「･･･俺も。姫、眠そう。ちゃんと、眠って」
「はい･･･。おやすみ、なさい･･･」
「ん。おやすみ」
先輩の息が繋いでいる手にかかってくすぐったい。
けど、誰かが傍にいてくれると意識できて、私は安心して眠りに落ちていった。
「･･･姫。･･････好き」
そう言った青八木先輩の言葉は、夢の世界に旅立ってしまった私には聞えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 素敵な感想をありがとうございます＾＾状態異常という表現に嬉しすぎて笑っちゃいました（笑）神･･･なんて素敵なお言葉いただけるなんて光栄です＞＜今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年10月29日 3時) (
レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 荒北さん(箱学メンバー)との合宿、最高すぎて“悶える”という状態異常にかかりっぱなしでした＾＾この作品神がっかてます！ (2019年10月28日 22時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ソラさん» いつも感想ありがとうございます＾＾たくさんコメント頂けて嬉しい限りです♪何度も読み返してくださって感激です！推しが決まらない内はブレブレでいろんな方に愛していただきますね★今後ともよろしくお願いいたします('-'*) (2019年8月4日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 何度もコメすみません(^^;) 荒北さんのお姫様抱っこに触発されてまた1話から全部読んできちゃいました（≧∇≦）何度めかな笑。読むページによって推しが変わりますが姫ちゃん可愛い過ぎますね。箱学の押せ押せ楽しみにしていますね(^ ^) (2019年8月3日 18時) (レス) id: c7e90ea51e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 的場琳さん» 嬉しい感想ありがとうございます('-'*)総北陣の大人しさが際立つ箱学の押せ押せを執筆できればと思います。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします＾＾ (2019年7月30日 21時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2019年5月31日 2時
