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微妙な表情をしているるうに苦笑いしながらリクは言います。
「無理して食う必要はない。気に入ったものだけ食えばいいんだ」
「泣きそうな顔をしているということは・・・魚族のこの料理はるうの口には合わなかったようですね」
リクとカイは、魚族の魚煮込みだけは今後るうには食べさせないと誓うと同時に、兎族と鳥族の味覚は近いものがあるのではないかと想像して、収穫ありとほっとしたのでした。
結局全て少しずつ口に入れたるうは、ぽんぽこりんだとお腹を押さえて主張したため、残りはリクのお腹に収まります。
「よし、少し時間もあるし、るう、行きたいところはあるか?」
「いきたい、とこ?でしゅか?」
「ああ。そうですね。僕は医務室を空けてきてしまっているので戻りますが、るうはいろいろ見て回るといいですよ。ただし、必ず誰かを就けてください。決して1人で行動はしないように。いいですね?」
るうがコクコクと頷くと、アルは向かの席にいるリクにるうを抱き渡して、るうのこぼしてしまった膝の上に落ちた欠片をつまんでお皿にいれ、るうの頭をぽんぽんと弾むように優しく撫でて行ってしまいました。
申し訳ない気持ちでリクにだっこされながらアルの後姿を見送っているるうに、カイは隣りから優しく声をかけます。
「るーう?るうの行きたいところに、好きなところに行きましょう。ね?」
「うー・・・」
なんとも情けない気持ちで頷いたるうを確認したリクとカイは、ふっと笑って席を立ちますが、周りの騎士たちは、やはりそんな慈愛に満ちた優しい笑顔で幼子を愛でる2人に卒倒しそうになります。
そんなことお構いなしのリクとカイは、るうを連れて食堂から出て行こうとしたのですが、るうがもう一度カウンターのコックたちのいるブースに行きたがったため、そちらに足を向けました。
そして、可愛らしい鈴を転がしたような声で『ごちそ、しゃま、でしゅ』と真っ赤な顔で伝えたるうに、コックたちも格好を崩して喜んだとか・・・。
食堂を後にしたリクとカイ、そしてリクにだっこされているるうですが、どこに行きたいかと問われたるうが1番最初に思いついたのは、医務室で出会った心優しい大きな灰銀色の狼族、ジルのことでした。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時