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アルはにっこりと笑うとカイとリクの肩をぽんぽんと叩きました。
「それにしても、るうは、今回のルナーは本当に可愛らしいですねぇ。あんな小さな幼子なんですから」
「・・・なっっ!?」
少し音量を上げてアルが言葉を出した瞬間、閉まっているカーテンの向こうから、動揺した声が聞こえてきました。
アルは顔を見合わせるカイとリクを無視して『そういうことです』と言葉をかけて、カーテンを開けました。
「「っっ!!??」」
そこには、大きな狼が横たわっていて、そのお腹で気持ちよさそうに眠っているるうがいました。
カイとリクは本当に驚いたようで目を見開いて固まってしまいましたが、それはカーテンの反対側でるうがルナーだという事情を知ってしまったジルも同じだったようです。
「このおちびさんが・・・ルナー様・・・?この嬢ちゃんが・・・?ってか、リク副団長?!カイ隊長っ!?」
そう、ジルは2番隊の隊長ですが、カイは1番隊の隊長をしており、リクはこの騎士団の副団長だったのです。
ですが、2人は竜騎士という立場と神殿の守人という任があるので、そちらを優先していたのでした。
困惑した声で動揺を隠し切れないジルが身動ぎしたことで、浅い眠りに入っていたるうは目を覚ましました。
本日、何度目かのおはよう状態のるうは、ジルの暖かい毛皮の中で寝返りをうつと目を開けて、未だに無言で固まっているカイとリク、その横でカーテンを持ったまま笑顔で立っているアルを視界に入れるとぱちぱちと瞬きします。
「はえ・・・?かい、りきゅ、ありゅ・・・?おはよ、ごじゃましゅ」
「ジル。お前・・・。そこで何をしている・・・?」
「はぁ〜。よかった・・・。るう。無事だったのですね」
それぞれがいろんな気持ちでいる中、リクは地の這うような声で質問しますが、ジルは狼の姿なのに器用にタラタラと冷や汗をかいていました。
「じりゅ、ふあふあで、ぽかぽか、でしゅ」
「そ、そうか。それはよかったな・・・?」
んーっと背伸びしたるうは、ふにゃりと華が咲いたように笑いましたが、ジルは生暖かい視線を受けて全身の毛が逆立つ思いをしたのでした。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時