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アルは状況が飲み込めないままにるうに視線を落として困惑顔です。
「し・・・知っているも何も・・・。えー・・あー・・・。そうでした。まだ公表されていませんでしたね。あーっと。僕の患者です。そんなことより、どうしてこの子がここにいるのです?夜着のままではないですか」
ジルはアルに、ここにくるまでの経緯を話し、それを聞いたアルは眉間に皺を刻みました。
「へぇ・・・そうですか。1人で、庭園に?ふぅん。夜着のまま。怪我まで・・・そうですかぁ」
「お、おい・・・。何を怒ってるんだ・・・?」
ジルはアルの黒い笑顔に頬を引き攣らせながらもベッドにるうを寝かせようとしましたが、動揺していたのか少し揺らせてしまい、るうの瞼は細かく震えました。
アルはるうの横たわるベッドの脇に、初めて出会った時のように膝をついて覗き込みます。
そしてるうの小さな頭を優しく撫でた時、るうの瞳はうっすらと開きました。
「ん・・・にゅ・・・。ありゅ?ふぇ・・・?お、はにゃ、は・・・?」
「るう。目が覚めましたか?」
アルは、先ほどまでの黒いオーラをすっと引っ込めると、目を細めて優しく微笑んでるうの小さな頭を撫でます。
ですがジルと呼ばれた男は普段からは有り得ないほど優しく微笑むアルに恐怖したのでした。
るうは眠っていたことに困惑しながらも、キョロキョロと周りを見渡すと、コテリと首を傾げました。
そしてニコニコと微笑んでいるアルを見上げた後、その後ろにいる見知らぬ人物にびくりとしてアルにしがみつきます。
「あ、ありゅ。そのひとは・・・?」
「え?ああ。騎士団の2番隊の隊長をしているジルくんです。僕がここにいるのは、この騎士団の医師だからですよ。るうを連れてきたのはジルくんなんですが、るうはどうしてその姿で庭園にいたのですか?」
るうはアルの腕ごしに、こっそりとジルを見ると、アルの後ろで微妙そうな表情で立っているジルは、るうとばっちり視線が合ってしまいました。
「あー・・・。アルさんや。その幼子はどこの子だ?」
「ジルくん。今、僕はるうに質問しているんです。少し待っていてもらえませんか?」
アルはにっこりと、るうに向けていた笑顔とは違う笑顔でジルに言うと、ジルは無言で苦笑いしました。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時