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リクがるうを抱き上げてベッドへ移動しようと動き出した時。
コンコン。
リクがゆるゆると口元が緩んでいくのを耐えていたら、ノックが聞こえてきました。
「私です。入ってもよろしいですか?」
「ああ。カイか。入ってこいよ」
トレイに何かを乗せて入ってきたカイは、リクがるうを抱き上げているのを見て眉を寄せたのをリクは見逃しませんでした。
それにしても、いつも笑顔の仮面を貼り付けているカイにしては珍しい反応だとリクは思います。
「それで、わざわざるうの部屋まで来たのには理由があるんだろう?」
「・・・ええ。るうの当面のことについて、少しお話しておこうかと思ったのですが・・・眠ってしまわれたのですね」
ハッと我に返ったらしいカイは、いつも通りにっこりと笑って言っていますが、黒いオーラは隠せていません。
「ああ。髪を乾かしていたんだが、いつの間にか眠ってしまった。別の部屋で話そう」
リクはるうを揺らさないように注意しながらベッドに横たえるとシーツをかけてやります。
るうの柔らかで軽い体はベッドにフワリと沈み、ふるりと長い睫毛が震えて、起こしてしまったかと思い内心慌てましたが、そのままるうからは穏やかな寝息が聞こえてきてほっとしました。
別部屋に移動したリクとカイは、向かい合う形でソファーに体を沈めると、カイは持っていたトレイをカチャリとテーブルに置きました。
「・・・それは?」
「ええ。初めての夜に、るうが不安で眠れないといけないと思って沈静の作用があるお茶を用意したのですが、ふふ。どうやら必要なかったようですね」
カイは初めて会った時のるうが、とても不安そうにリクの後ろに隠れて恐る恐る自分を見上げてきた時のことを思い出していました。
「ああ。俺も1人にしてしまうのは不安に思うんではないだろうかと思っていたんだが、思ったより落ち着いていて安心した。この分なら、披露目の儀式でも問題ないな」
「そうですね。ですが、意思疎通のできるルナーは久方ぶりですので、王都や魔導協会への通達は慎重にするべきでしょう?先代の事件のようなことにはならないとは思いますが・・・・」
リクとカイは過去の凄惨な歴史を振り返って小さくため息を吐きました。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時