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▼76 ― If you be fall evil together 2 ― ページ26

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「__という事です」

『うん、報告ありがとう』

「はい、×××様」




×××。日本最大の犯罪組織、”梵天”の幹部。


その存在は徹底的に隠されており、顔を知っているのはその部下と同じく幹部の人間だけである。


下手をしたら顔を見ただけで殺される、そんな恐ろしい存在であるが、彼女は部下にとても慕われる優秀な上司でもある。


きちんと部下を労い、信用する。反社会的な組織であるにも関わらず、優しい言葉をかける。そんな彼女を部下も信用し、まるで宗教のように愛している。




『さて……、ワタシは君を信用していたのだけどね』

「っひぃ、申し訳、申し訳ありません__!!」

『裏切るなんて、思ってもみなかったよ。そうだね、”裏切りは1番許してはならないもの”、だよね』

「か、家族を人質に取られ……!」

『家族、か』

「そっ、そうなんです!!なので仕方なく……」

『ねぇ、そこの君。ワタシと家族……、どっちが大事?どっちが信用してる?』




彼女は光を失ったその瞳を傍らにいる部下にやる。


目を向けられた彼は恍惚とした顔で、心酔しきったその瞳ですぐさま答える。




「×××様だけに、決まってます」




その答えに、薄く笑んだ彼女。




『…だよね。家族とかいう薄い繋がりより、ワタシとの信頼の方が格段に大事』

「……」

『君はワタシに、梵天に忠誠を誓うと言ったのに…。ワタシを裏切ったんだね』

「っあ………」




捕らえられた男に顔を近付ける彼女。


男は、今まさに自分の命が絶えさせられようとしているのにも関わらず、その顔に愛と儚い美しさを感じてしまった。


どうして、こんな人を裏切ってしまったのか。家族なんかより、己にとって大切な存在なのに(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)





『何か言う事は?』

「貴方に殺されて、幸せです」





男は涙を流しながら余りにも場違いなその最期の言葉を言う。


それを聞いた彼女は表情を無くした顔で拳銃を握り__





『残念だよ』





乾いた銃声が響いた。


後始末よろしく、とそれだけ言い残し去る彼女。


撃たれた、もう既に生命の活動の気配のない男の顔は幸せに満ちた顔をしていた。





(裏切りだけは、ゆるしちゃいけない…、そうだよね、マンジロウクン……)







〈 If you be fall evil together. 2 〉

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沙耶(プロフ) - とっても面白いです!他の作品も読んでいて楽しいです。出来ればこちら更新してくださると嬉しいです。未来のことも気になりますし! (2022年9月25日 22時) (レス) @page31 id: 5943b8e857 (このIDを非表示/違反報告)
Rii - 本当に面白い・・・。続きを更新してくださるとすごく嬉しいです・・・! (2022年9月17日 13時) (レス) @page31 id: 6d42949a76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。drem要素はナシですがkkak要素は少しだけ入れようと思ってます;; (2021年12月5日 21時) (レス) id: 360fc9d44a (このIDを非表示/違反報告)
- 素敵です!一つ質問ですがこれって、ドラエマやココ赤はありですか? (2021年12月5日 19時) (レス) @page28 id: 84912e6348 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - ttakedasaki0906さん» コメントありがとうございます!頑張ります( ; _ ; ) (2021年12月3日 22時) (レス) id: 1410bbb1e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆー。 | 作成日時:2021年11月15日 18時

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