【短編集】悪魔というのは種族だけ。【ブラックチャンネル】

嫌いと言ってみた ページ4

Aside

▷▶︎▷


ブラックは、YouTuberとして働いてる癖なのか、よくドッキリを仕掛けてくる。
痛みは無いけど、スケールの大きいドッキリばかりで、稀に動画も撮られている。
特にそれに対して怒っているという訳では無いが、やられっぱなしも嫌だ。

(ちょっとくらいなら…すぐネタバラシするし…良いよね…？)

「ブラック…ちょっと伝えたい事があるんだけど…」

「何です？」

わざとらしく暗い顔をすると、ブラックは編集作業をやめ、直ぐに食いついてきた。

「私…実はブラックの事嫌いなの…」

「…」

ブラックは見事に黙り込む。
やり過ぎたかと思ったが、日頃の仕返しだ。
これくらいしても罰は当たらないだろう。

「もう近寄らないで欲しい…」

(いつもドッキリを仕掛けるブラックが悪いんだから────え？)

ポタッ

驚く事に、ブラックが涙を流していた。
俯いていて顔は見えないが、泣いているのは確かだ。

「そうですか…」

声まで震えている。

「ちょ、ブラック「今までありがとうございました」え…？」

ブラックはそう言って羽を広げる。
どうやらブラックは、私が「嫌い」と言ったのを本気にしたようだ。
嫌だ。
行かないで。

「ブラック…！」

私は後ろからブラックに抱きついた。
いくら自己責任と言っても、こんな事になるとは思わなかったのだ。

「その…私…嘘ついてた…」

「…」

ブラックは喋らない。
怒ってしまったのだろうか。

「いつもドッキリ仕掛けられてるから…私もしたくなって…」

「…」

でもこれが当たり前なのかもしれない。
私が嘘をついたから。
私が悪いんだ。

「で、でもこんなの理由にならないよね…。ブラック…ごめんね…。お願い…行かないで…」

「フフッ…」

「え？」

今…笑った？
口を押さえて、肩を震わせて、本当に笑っている。
私が動揺している間に、ブラックは向きを変えて私に抱き返した。
今から何を言われるのだろう。

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