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13、過去 ページ14

私の家はとてつもなく厳しい家だった。


何事でも1番でなければならない。

学校の勉強も体育も習い事でも

全て1番でなければならなかった。

でも、それが当たり前であった。



『ッチ。ほんま暇。つまらん。』


そんな日々に嫌気がさしていた。

一年生のころからはじめたテコンドーでもずっと試合で優勝ばかりしていて何も楽しいと思えなくなってしまっていた。


今日も同じだ。


「試合どうだった?」

『優勝です。』

「そんなことでいちいち威張るな。当たり前だ。」


うちの父親は何をしても褒めてくれる人ではなかった。


でも、母だけは私のことをずっと褒めてくれていた。


「すごい!ほんまにすごいよ!Aはよう頑張っとる!」


私は今思えば母の笑顔を見たくて頑張ってたところもあった。


だけど、私の運命を変えた6年生の夏。

私は初めてテコンドーの試合で負けた。

相手は同い年の子だった。

悔しいと思った。

でも、それと同時になんとも言えない高揚感があった。

本気でやる楽しさを知った。


なのに、あの父親は帰ってきた私を殴った。


「何負けているんだ!この恥さらしめ!この家に負けるような奴はいらない!敗者はいらない!」


その瞬間、私は気づけば父親の頭を蹴っていた。

そのあとボコボコに父親を蹴りまくった。


『は?お前の方が弱ぇのに文句言ってんな。ねぇ?お母さん。』

床にへばりつく頭から血を軽く流す父親を踏みながら私は母親を見た。


「このっ…!人殺し!!!あんたはこの家の子じゃない!消えて!!」


でも、母親は私の望んだ返事をしてくれなかった。

もちろん、父親は気絶していただけで死んではいない。

その後、私は父親と母親に金はいくらでも出すから出て行けと言われ、この東京に追いやられた。




私は親に捨てられた。




もう、2度と誰にも捨てられたくない。



1人になりたくない。

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作者名: | 作成日時:2021年9月24日 20時

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