＊ ページ31
なぜ自分に銃が向けられているのか分かっていない男爵はあわてながらも、ジョーカーにナイフを下すように言う。
最初は抵抗の意を示していたが、再度強く命じられると、しぶしぶナイフを下した。
｢ケルヴィン男爵、誘拐した子供達はどこだ」
シエルがそう聞くと、男爵は嬉しそうに顔を向けた。
｢なーんだ、あの子達に会いたかったのか。
地階にいるからすぐ案内するよ。それに地下には君に見せたいものがあるんだ」
＿＿＿＿＿＿
一同は男爵誘導の元、地下に向かった。もちろん、シエルとセバスチャンは銃とナイフを下さずに歩いている。
｢君と並んで歩いてるなんて夢みたいだ」
｢無駄口を叩くな。さっさと子供のいるところに案内しろ」
｢う、うん。ごめんね」
この屋敷に来てから...いや、それよりも前から、男爵は何故こんなにもシエルを崇拝しているのか。
普通、爵位を持っている人間がここまで下手にでることなどない。それが同じ貴族で、階級が自分より上だとしてもだ。
だが、男爵はシエルに何を言われても、何をされてもニコニコとしている。
この男とシエルの関りは何なのか。
Aがそんなことを考えていると、目的の場所に着いたようで、男爵が止まった。
｢あの日から僕はずっと後悔していた。何故僕はあの日、あの場所...君の傍にいられなかったんだろうって」
｢あの日？僕の...傍？いったい何の話だ」
｢どれだけ後悔しても時間は戻らない。でも僕は気づいたんだ」
男爵の車いすを押していた子供たちが、部屋の扉を開ける。
｢戻らないならもう一度やり直せばいいって」
その時、セバスチャンは何かに気づいたらしく、形のいい眉がピクッと動いた。
｢ほら、見て！」
扉の先に合ったのは...
｢準備に3年もかかってしまった。
さぁやり直そう、ファントムハイヴ伯爵。3年前のあの日を！！」
円を作るように観客席があり、その中心には蠟燭が2つと子供たちが入れられている檻が3つ、そして魔法陣が書かれた地面の上には台が1つ置かれていた。
部屋の様子をいぶかし気に見るAの隣で、シエルの顔から血の気が引いていく。
なぜなら、彼にとってこの部屋は、全てを失ったあの日と同じ部屋のつくりをしていたからだ。
＿＿＿そう、全ては5年前のあの日に始まった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1071人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
向日葵 - 更新されてて嬉しくて一気に読んじゃいました！お忙しいとは思いますが、続き楽しみにしてます！ (4月16日 2時) (
レス) @page34 id: cb9e52fa3f (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ(プロフ) - 続きください！楽しみにしてます✨ (3月4日 21時) (レス) @page25 id: 42fa138aff (このIDを非表示/違反報告)
しゅな(プロフ) - 更新ありがとうございます！( ；__；)大好きです！すごい面白い展開で、楽しみです、、！応援してます！ (2月1日 0時) (レス) id: 4012986507 (このIDを非表示/違反報告)
心美 - 最初見たときびっくりしましたよ！私の名前と全く同じ〜なんか嬉しいです！続き楽しみにしてます。 (7月23日 10時) (レス) @page7 id: b5a6a9d7fe (このIDを非表示/違反報告)
あられ - えー！！ここで終わってしまうの勿体無いです…更新される日を待ってます… (2022年11月3日 23時) (レス) @page8 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SHION* | 作成日時：2021年11月23日 0時
