＊ ページ27
夕食を完食し終えた後、外出用の服に着替えるシエルを待ちながら、Aは窓の外から見える夜空を見ていた。
今頃本邸にエリザベスが来ていることをシエルも聞いているだろうかと思いながら、この後に待ち受ける仕事にあの子が巻き込まれないかと不安が募る。けれどそれもすぐに杞憂だと思い直す。
本邸には優秀な人達が四人もいるし、エリザベスももしもの時は抵抗できる術をもっている。そこまで心配する必要もないか…
そんなことを考えていると、支度を終えたシエルが戻ってきた。
Aも上着を羽織り、三人で玄関へ向かう。
するとタイミングよく、ソーマに出くわした。
シエルが風邪をひいていることを知っているソーマは、外出しようとしているのを見て止めに入る。
｢シエル！また出かけようとしているな！？
そんなんじゃ治るモンも治らん｣｢昨日｣
だから部屋へ戻れという言葉をさえぎって、シエルは話しを続ける。
｢お前がAと一緒に寝ずに看病してくれたんだってな｣
｢えっ、あ、ああ｣
｢お前のおかげですごく良くなった。ありがとう｣
感謝だけでなく、滅多に見せ無い笑顔付き。
当然ソーマは有頂天になる。
｢そーかあ！！俺のおかげか！
やっぱり看病の仕方がいいと違うんだな！｣
｢ああ。そんなワケで元気な僕はもう行く、じゃあな｣
意識が逸れた隙を逃さず、Aの手を取ってスタスタと屋敷を出ていく。
ソーマが気づいた時にはもうそこに三人の姿はなく、帰ってきたら覚えてろよぉという彼の声だけが響き渡ったのであった。
ーーー
セバスチャンが二人を抱えて連れてきたのは、ケルヴィン男爵の屋敷だった。
この屋敷は町家式から丸一日かかる所に位置しているが、セバスチャンにかかれば一時間もせずに着いてしまう。
｢どうだ、臭うか？｣
｢ええ…全員かどうかはわかりませんが、皆さんご無事のようですよ｣
とりあえずは女王の望む形で、子供たちを帰せそうだというこが分かった。だが、まだ安心はできない。
気を引き締めながらドアへ向かうと、それは自然に開いた。
まるでここに彼らが訪れるのを分かっていたかのようだ。
｢当家へようこそ｣
その先にいたのは…
｢お待ちしておりました｣
普段の笑顔を消した、ジョーカーだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1067人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
向日葵 - 更新されてて嬉しくて一気に読んじゃいました！お忙しいとは思いますが、続き楽しみにしてます！ (4月16日 2時) (
レス) @page34 id: cb9e52fa3f (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ(プロフ) - 続きください！楽しみにしてます✨ (3月4日 21時) (レス) @page25 id: 42fa138aff (このIDを非表示/違反報告)
しゅな(プロフ) - 更新ありがとうございます！( ；__；)大好きです！すごい面白い展開で、楽しみです、、！応援してます！ (2月1日 0時) (レス) id: 4012986507 (このIDを非表示/違反報告)
心美 - 最初見たときびっくりしましたよ！私の名前と全く同じ〜なんか嬉しいです！続き楽しみにしてます。 (7月23日 10時) (レス) @page7 id: b5a6a9d7fe (このIDを非表示/違反報告)
あられ - えー！！ここで終わってしまうの勿体無いです…更新される日を待ってます… (2022年11月3日 23時) (レス) @page8 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SHION* | 作成日時：2021年11月23日 0時
