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美奈子ちゃんの発言にみんなが唖然としていると、あのさ、とまこちゃんが質問をなげかけた。
「美奈子ちゃんの目的って、アイドルデビューすることとスリーライツの恋人になることのどっちなんだい?」
「もちっ、両方よ!」
「「「「「ええーー!!!」」」」」
二頭追う者は一頭も得ずと言うのに...
いっそ清々しいほど欲に忠実な彼女に、尊敬すら覚えた。
「あっいけない、もうこんな時間。
スリーライツが待ってるから失礼するわ」
カバンを持つと、美奈子ちゃんはドアに向かった。
「美奈子、行ってきまーす!」
元気よくそう言うと、美奈子ちゃんはクラウンを後にした。
まるで嵐のような美奈子ちゃんを唖然としながら見送っていると、急に腕を引っ張られた。
相手はうさぎちゃんだ。
うさぎちゃんは、いつかの公園で立ち入り禁止エリアに入ろうとした時と同じように、悪巧みを思いついたと言わんばかりに悪い笑みを浮かべていた。
「面白そうだから言ってみよ」
美奈子ちゃんもそうだけど、うさぎちゃんも行動力がある子だ。
でもまぁ、うさぎちゃんを一人で行かせるとまた何かしちゃいそうだし、ここは私も一緒について行くほうがいいだろう。
そのまま私とうさぎちゃんは、美奈子ちゃんにバレないように彼女の後をついて行った。
ーーー
クラウンに残った三人はというと、未だに美奈子が出て行ったドアを見て唖然としていた。
彼女たちも美奈子同様スリーライツのファンではあるが、流石に付き人になろうという発想はなく、且つ美奈子はアイドルの座も狙っていると言うのだから、もう何も言えない。
「美奈子ちゃん、恐るべし…」
ここで、Aとうさぎがいないことに亜美が気づいた。
「あら、そういえばうさぎちゃんとAちゃんは?」
先程まで二人が座っていた席は、飲み終えたジュースだけを残してもぬけの殻だった。
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作者名:SHION* | 作成日時:2022年10月20日 22時