3話 ページ20
放課後、いつものように私たちはクラウンへ集まっていた。
クラウンへ着いてそうそう、うさぎちゃんがテーブルに出したのは写真だ。何かと思い、それぞれが数枚手に取る。映っていたのは、美奈子ちゃんとスリーライツの三人それぞれのツーショットだった。訳を聞くと、芸能界入りを目指している美奈子ちゃんは、これらの写真をマスコミに売ってスリーライツの恋人として手っ取り早くデビューまでいこうと企んでいるとのこと。
勢いと発想力がすごい。
確かに、どの写真もマスコミが見れば欲しがるだろうけど...でも
「ブレブレだね」
写真のピントが合っていない。
「うさぎちゃんの興奮は十分に伝わってくるけど...」
亜美ちゃんと顔を見合わせて互いに苦笑していると、でもさ、とまこちゃんが言う。
「手あたり次第だな」
確かに。これじゃ二股どころか三股になってしまう。
そう思ったのはみんなも同じようで、深刻な顔で顔を合わせる。
「いったい」
「美奈子ちゃんの」
「本命って」
「三人のなかの」
丁度その時、美奈子ちゃんが元気よくクラウンにやってきた。
「「「「だれ!?」」」」
私達の勢いに、美奈子ちゃんはたじたじだ。
「美奈子ちゃんの企んでいるツーショット写真!スリーライツのいったい誰が本命なのよ」
レイちゃんが聞くと、美奈子ちゃんはうさぎちゃんが座っていた席に座り、彼女が飲んでいたジュースを飲みながらあっけらかんとした様子で答えた。
「あーあれ?あんなまどろっこしい計画はやめやめ。もっと現実的な作戦に変更したの」
現実的な作戦ということは、芸能界入りを目指すことはやめたわけではないのだろう。でも、より現実的なのって??
美奈子ちゃんは椅子から立ち上がると、高らかに宣言した。
「私、愛野美奈子は、あの人気アイドルグループスリーライツの付き人になったのでーす!!」
え...
「「「「「ええーー!!」」」」」
「なんたってちょー忙しい芸能人だもん。たとえ一緒のクラスだってなかなか親密になるチャンスって少ないし。だから、付き人になって四六時中一緒にいれば自然と愛情も沸くってわけよ」
な、なるほど?
なんかもう発想がすごすぎて何言ってるのか分からなくなってきた。
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作者名:SHION* | 作成日時:2022年10月20日 22時