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この状況をどう切り抜けようか考えていると、肩をポンと叩かれた。相手は彼だ。
「あなた、アイドルだったんだね」
「ほんとに知らなかったんだな」
人気あると思ってたんだけどなと、頬をかいて笑っている。
「俺、星野光。星野でいいよ」
「うん」
私も慌てて自己紹介をする。その後も話を振ってくる星野くんに、背後から刺さる視線に冷や汗を流しつつ応える。それから少しして、星野くんは先の男性に早く行こうと声を掛けられ、ハイハイと返事を返した。
「同じクラスになれるといいな」
「うん」
「じゃあなっ!」
星野くんたちは校内へ入っていった。女子生徒たちもその後を追う。残ったのは、今登校してきた生徒たちと私達だけだ。
「星野くんって人気者なんだね」
「だねぇ、やな奴だけど」
うさぎちゃんは未だにお団子と言われたことを気にしている様子。
「そう呼んでいいのは衛さんだけだもんね」
「そう!」
次こそちゃんと名前で呼んでもらうと意気込むうさぎちゃん。そうだねと返しながら、うさぎちゃんと談笑していると、突然背後から肩を掴まれた。
「ちょっとうさぎ!」
「Aちゃん!」
「「なんで星野と知り合いなの!?」」
「しかもAちゃんは下の名前呼びって、どういうことよ!」
ものすごい形相で肩を揺すられる。
「う〜ん、ちょっといろいろあって」
そのいろいろって何と、うさぎちゃんに詰め寄るレイちゃん。
「前に会ったことがあって、そこで少し話しただけだよ」
「そうそう、それにアイツ変な奴だし」
大まかにだけど話すと、レイちゃんたち四人は顔を見合い、声をそろえて信じられないと口にした。あのスリーライツに会って話しただけ、しかも変な奴呼ばわりをすることがファンからしたら信じられないことらしい。もっと喜ぶべきだというみんなの言葉にはいはいと返事をしつつ、うさぎちゃんと逃げるようにその場から離れた。
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作者名:SHION* | 作成日時:2022年10月20日 22時