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第五噺:希望は一風一波乱 ページ7

――


道なりに進もう、と足を進めていると



後ろから私に静止を求める声と、目の前の扉が勢いよく開き、運悪くそれにぶつかってしまい



どたっ、と尻もちをついては、痛みが走り悶える



「お、おっ!?ご、ごめんよ!?大丈夫か……い……」



「ああっ!ちょっとちょっと前田の旦那!その子捕まえて!!」



また、知った顔だ。



利家殿のところの……慶次殿……



でも、目の前のそれも、きっと私のことなど知らず、ただただ孤独だということを強調するだけ



虚しい。怖い。誰でもいい、もういっそ、私を――




「どぅえええええええええええええ!?ちょっ、えぇ!?苗字A!?な、なんでっていうか、えぇ!?どうして!?」




『……へっ……?』




「どひゃああああああ!?声もそのまんまだ!?」




私の、名を。呼んだ。




「え!?何々、知り合い!?」




「や!や!だから今日言ったじゃん!新作ゲーム買いに行くって!あれね!俺達に似た武将達の無双ゲーム!今回の新作で俺が初代からずっと推してきた……苗字Aがなんでいんの!?」



何を言っているかさっぱり分からなかったし




どうやらこの目の前の慶次殿も私が知っている慶次殿ではない、らしい




けれど




『よくぞ……私の、名を……呼んでくれました……うれしゅう、うれしゅう、ございます……』




名を呼ばれることが




誰かに自分という存在が知られていることが




これ程までに安心するだなんて




ぽろぽろと涙を零す私を、3人は黙って見ている




「あ、あの……本当に、A、えっと、さん?」




『……いかにも。私はA。しがない武将です。……貴方は、私の知っている慶次殿とよく似ておられる……話を、聞いては下さいませぬか』



ずい、と慶次殿を除きこむ様に距離を詰め、とにかく情報を




冷静になってきた頭でこのよくわからない所からの脱出を考える




「え、えと、ち、近い……ッ!」



『むっ、ああ、失敬。つい……ハッ、そうだ……幸村殿、佐助殿、私の腹を縫うてくださり、ありがとうございます』



「えっ、あ、いや……うん。待って。今そんなことより重要なワードが……」



「げ、げぇむ……A……?」



『……ひとまず、お互いの話を、いたしましょう。』



希望が見えた



私は余裕ができたことをいいことに、油断した



柄では、ないのに



――
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@無 - どうか更新を...........................() (2019年1月7日 21時) (レス) id: 9d95717760 (このIDを非表示/違反報告)
musiclove9213(プロフ) - 続き楽しみにしてます! 頑張ってください♪ (2018年6月22日 13時) (レス) id: f2e3fea196 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚鹿@死神ちゃん★ | 作成日時:2017年7月23日 21時

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