全てが終わり、終わった先の始まりの噺 ページ1
――
雨が、降っていたのです
私の頬に貼りつく髪が鬱陶しくて、冷たくて、刀の切っ先が霞んで見えるのです
眼の前に立ち塞がる障害の、なんと大きなことか
……共に、日ノ本の平和を願った彼らの、叫びが雨音の中、所々聞こえてくるのです
『………帝、自分は……貴方が起こしたこの動乱……許し難く、思ってまいりました。しかし』
眼の前の障害の
【なんと楽しそうなことか】
私との立ち合い、お気に召されたか。
産まれてこの方、武器をこの身から離さなかった私の剣も
眼の前の障害はいとも容易く真似、越えてくる
屈辱的であり、しかして負けることへの諦めもついてしまう
残酷なお人
笑みを絶やさずにいるのに、誰よりもきっと笑っていない
『……憐れな事だ。』
「朋よ……楽しかった。久々に胸燃ゆる立ち合いだった。感謝する。朋の様な女子は初めてだ……是非とも余の隣で永遠に余を楽しませてもらいたい……」
『光栄の至り。しかし私は……とうに女を捨てております故。』
「うん、その心意気や見事。では、どう終わりたい」
『……貴方に。初めて傷をつけた……【武将】として。背中傷は恥。腹を捌いていただきたく』
「……益々、殺 すのが惜しい……実に、そう……残念だ。朋よ」
雨音が、止む
ああ、もう足音すら背後に
……最期に、皆様のお顔を、きちんと拝見しとうございました。
この障害には、私では敵いませぬ。
私は満足げに笑みを浮かべ、自らの鞘に刀をしまい、鎧を脱いで、隣に置く
ゆっくりと着物の前を開き、帝が狙いやすいように腹を見せる
声が、もう後ろに
振り返りませぬ。とくと見ませい。この苗字Aの死に様を
「Aーーーーーーッ!!」
……いつの日か
また輪廻が、天が我らを逢せおうたならば
『また……手合わせ願いとう、ございます』
戦国乱世。平和を願いて、願いて散る。
帝の刃が我が腹を切り裂く。
雨音と違う飛沫の音と
志を共とした、貴方の声
また……逢う日まで
「む……?」
私が倒れ行く刹那
天からの光が私を包む
私は、腹の痛みに気を失いながら……
最期に見えた赤に微笑んで見せた
――
舞い散る血飛沫椿の如く―――
戦国乱世に散った乙女の魂、はてさて何処へ
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@無 - どうか更新を...........................() (2019年1月7日 21時) (レス) id: 9d95717760 (このIDを非表示/違反報告)
musiclove9213(プロフ) - 続き楽しみにしてます! 頑張ってください♪ (2018年6月22日 13時) (レス) id: f2e3fea196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚鹿@死神ちゃん★ | 作成日時:2017年7月23日 21時