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実感した。 ページ29

教室は時間にしてはいつもより多く来ていた。

「おはよ」

「あー、来た来た!どーしよほんと、もう泣きそうだよ」

「凛は入場から泣きそうだよね」

「中学の卒業式そうだった…」

「ま、まじですか」


いつもジャージの先生も、今日はかっちり髪も整えてスーツを着ていた。

「なんか違う人みたいだね」

「そうだね」




先生の指示で廊下に並ぶと、風通りの良い体育館の前の廊下に待機させられた。


「ざ、在校生がストーブの効いた体育館の中で待機して
メインのうちらがこんなとこで待つのおかしくない?」

「しょうがないでしょ!そもそもストッキング履いてないのが悪いよ」

「さっき伝染しちゃったんだもん!」

「こらー、もう静かにしろー。中まで聞こえんぞ」


珍しくみんなが素直にその指示を聞いて静かになったから、先生も少し驚いていた。



いざ、体育館の扉が開くと流石に少し緊張した。


隣で歩く男子とかなり遅いペースの入場に合わせて歩いていると


「A!A!」

「お母さん!…と、お父さん!」

「前見て前見て!」

いや、お母さんが呼んだから…。


小声で会話してもかなり目立つ。
目立つことは極力避けたいのに…。



かなり時間が経って全員入場し終わると、今までの練習通り式が始まった。


来賓の話は長いし、校長の話はもっと長いし…

隣で半寝で頭がふらついている男子を肘で小突いて起こしながら過ごしていた。



次第に式も終盤に差し掛かって、気がつくともう各クラス1人が代表して卒業証書を貰っていた。


最後の最後に残ったのが、凛が1番心配していた歌。

今の所平気な顔してるみたいだけど、内心はわからない。


曲が始まって、普通に歌っていた。
正直泣きそうだったけど、泣くのはこのあとのホームルームで泣こう。


なんて思ってると、アルトだけのパートで何回も鼻をすする音が聞こえてきて

そのあと徐々に涙声の歌声が混ざって聞こえてきた。


まさかと思って横目でちらっと目をやると

「(やっぱりか…凛だ。

…にしても、堪えながら泣いてるから泣き顔が大変なことになってる…。

お母さん撮っといてくれないかな)」



そんな凛につられて周りも泣き出して、つられそうになったけど我慢した。


そんな我慢も5分程度で、式が終わり退場した。


保護者席で見えたお母さんとお父さんは泣いていた。




それを見て一気に視界がぼやけたけど、目に涙をいっぱい溜めて我慢した。


その時卒業するんだって実感した。

いつでも会えるよ→←ちょっと我慢してね?



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rinon(プロフ) - 1作目から読みました!読んでいてすごく面白かったしドキドキしました笑とても素敵な作品をありがとうございました! (2018年10月11日 21時) (レス) id: f99e4cad7a (このIDを非表示/違反報告)
梶くんLOVE - すっごく面白かったです!何度も読み直しちゃうくらいこの作品大好きです! (2018年9月17日 19時) (レス) id: 30bbe2ba04 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 1作目から三日かけて読みました!ものすごく内容が凝っていて、面白かったです! (2018年3月6日 2時) (レス) id: a8be3044ec (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 1作目から読ませていただきましたっ!!!本当に楽しかったです! (2018年2月4日 11時) (レス) id: 967f86594e (このIDを非表示/違反報告)
霜架 - 2日で、読みきりました!とっても面白かったです!素敵な作品ありがとうございました! (2017年6月24日 11時) (レス) id: 6ed6169ed9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:simuko | 作成日時:2015年12月22日 21時

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