Will get married.【梶裕貴】

忘れちゃった感じ？ ページ17

「いってくるよー？」

「はーい、いってらっしゃいー」

「ちゃんとご飯食べてよー？」


コーヒーだけもってテレビを見ている梶くんに声をかけて家を出た。


学校は休みでも仕事はある。
嫌じゃないけど。


「あーもう寒いなぁ」

梶くんにもらったマフラーと手袋をちゃんとつけて家を出るようにしている。


「…あったかいな」


"梶くんにもらった"っていうのが重要。
ただのマフラーと手袋じゃないってこと。

つい口角が上がってしまう。


「…おっと。
いかんいかん。ニヤけてしまった。」


そんなひとりごとをいいながら、いつもの通学路に近い道を歩いていた。

ルート的に学校の近くは通らざるをえない。

「あ、学校電気ついてる。先生いるのかな…

ん？」


校門の前に男の人が1人立っていた。

卒業生とかかな？

私も来年からは高校が懐かしくなるんだろうな…。


想像つかないけど、

凛とか悠とか桐子ちゃんとか集まってお酒飲んだりするのかな…



凛は意外とお酒強そうだな、そんで飲みすぎて悠に止められてそう。

悠は弱いからってそんなに飲まなそう。

桐子ちゃんは…
弱いくせにガンガン飲んで酔い潰れそう。


と、ぼーっと考えながら歩いていると男の人と目があった。

軽く会釈して通り過ぎようとして、頭を下げかけて何かに気づいた。



…どっかで見たような。


「…A？」

名前を呼ばれてもちゃんと思い出せない。

ただ、絶対に初対面ではない。


「……えーっとー…」



「…あ、忘れちゃった感じ？

1年会ってないだけなんだけど…あと俺結構インパクトなかったかな？」



一個上…インパクト…






「……あっ、先輩！！」


「正解、よかった思い出してくれて」








高田先輩だ。

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