嘘なんかつけなかった。 ページ14
「んー…微妙…」
久々に日曜のオフ、朝からほとんどキッチンにこもっていた。
梶くんは仕事でいないから今日しかできない。
「…バレンタイン、ねぇ…」
試作兼練習で作ってみたトリュフもチョコケーキもクッキーも全部微妙。
味が悪いとかそんなんじゃないんだけど…っていうか、むしろ我ながら美味しいと思うんだけど
「普通すぎるのかな…」
特別感がほしいっていうか…
「悠にあげるのは今作ったやつで問題ない…っていうより十分すぎると思うけど
…梶くんにあげるやつは重みが違うっていうか…」
「ただいまー」
「え!?」
は、早くない!?
まだ4時なのに…!
「ま、待って待って梶くんストップ!!」
「え?」
「とりあえずおかえり」
「うん、ただいま…どうしたの?」
「あー…えっと明日友達が誕生日でね、チョコのお菓子が大好きだっていうからね、いろいろ作ってたの!
だ、だからちょっと今キッチン散らかってて…」
「あぁ、なんだ。別にいいよ?
キッチンなんてほとんどAちゃんしか使わないじゃん」
「そ、そうだけど…」
「わー、またいろいろ作ったねー」
「う、うん…」
「全部美味しそうじゃん。どれあげるの?」
「あ、えっと…まよってて」
「え?そうなの?」
「……何か特別な物に出来たらって思ったんだけど
そう考えると逆に無難なやつしかできなくて…
どうやったら喜んでもらえるのかとか、どうやったら私がコレ渡した時に特別な存在だって思ってもらえるのかわかんなくて…
それで……あっ」
や、やばい…口が滑りすぎた!
ほとんど本当のこと本人の前で言ってるようなもんじゃん…!
「あげるの、男の子…?」
「え?」
「そんなに思ってる人が俺以外にいるとかちょっと…妬けるっていうか…」
「え、えっと…」
「…ごめん、別に困らせる気は無かったんだけどちょっと気になっちゃって…気にしないで」
「か、梶くんだよ!」
「…え?」
「…梶くんにあげるバレンタインのお菓子考えてたの…」
あーあ、言っちゃった。
嘘なんかつけなかった。
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rinon(プロフ) - 1作目から読みました!読んでいてすごく面白かったしドキドキしました笑とても素敵な作品をありがとうございました! (2018年10月11日 21時) (レス) id: f99e4cad7a (このIDを非表示/違反報告)
梶くんLOVE - すっごく面白かったです!何度も読み直しちゃうくらいこの作品大好きです! (2018年9月17日 19時) (レス) id: 30bbe2ba04 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 1作目から三日かけて読みました!ものすごく内容が凝っていて、面白かったです! (2018年3月6日 2時) (レス) id: a8be3044ec (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 1作目から読ませていただきましたっ!!!本当に楽しかったです! (2018年2月4日 11時) (レス) id: 967f86594e (このIDを非表示/違反報告)
霜架 - 2日で、読みきりました!とっても面白かったです!素敵な作品ありがとうございました! (2017年6月24日 11時) (レス) id: 6ed6169ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:simuko | 作成日時:2015年12月22日 21時