▽門雪 ページ4
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『正門くーん?』
「ん?…んー……」
『まーさーかーどーくーん!』
「まさかどくんか………ちゃう」
『え?』
「やめてや、正門くん」
『?どういうこと…?』
「呼び方!正門くんって呼ぶのやめてや」
呼び方って…今更?
そう言いたかったが、じーっと見つめてきて言えない。
餌を前にして待ってる犬みたい。
それも目をきゅるきゅるさせている。
でも正門くんの渋い顔には似合わなくて。
思わず笑ってしまうと真剣なんやで!と怒られてしまった。
『えぇ、逆になんて呼んで欲しいの?』
「Aだけの呼び方!」
『え〜、もう、独占欲強いんだから笑』
恥ずかしくなって照れ隠しながらもそう言う。
りゅちぇくんにもそうだけど、正門くんは甘やかしすぎる癖があるから困るところ。
特に私なんて褒められるのが苦手でどう反応したらいいかわからなくなる。
「なあ、なんか良いの無いん?」
『ん〜、よっしー…とか?』
「よっしー…って、某任天堂のゲームのキャラクターやん!
なんかもっと無いの?」
そんなもの急に言われたんだからあるわけないでしょ!
そう言いたかったけどこんな期待に満ちた顔をしたら何も言えなくなってしまう。
…正門くんって、こんな人だったっけ?
『えぇ〜
じゃあ、よしくん…?』
「よしくん!ええなぁ!」
よしくん!よしくん!と自分の名前を繰り返し言う姿を見てると、可愛いなあって。
普段大人に見せてるだけで案外子供っぽいのかもしれない。
「A、ありがとうな」
『笑、いいですよよしくん』
「ん〜!!可愛い!!!!」
「って感じでよしくんって呼んでくれてるんですよね?」
『うん、あの時のよしくん怖かったから笑』
「え〜!そうなん!?ごめーん!」
『うそうそ!冗談です!
よしくんの知らない一面見れた気がしたよ?』
「知らん一面?そんなんあったっけ?」
『笑、それは私だけの秘密です』
「え〜!可愛いけど教えて!」
『えへへ、教えませ〜ん』
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作者名:しき | 作成日時:2022年11月8日 11時