【呪術廻戦】壊れかけの人形【男主】

40 ページ40

『…悟さん。』

下を向いている悟さんの表情はわからない。


『悟さ 悟「お前が言うまで俺ら……ずっと待ってるから」……』


寂しそうに……こういう時の表現の仕方がわからない。

悟さんは笑っていた。

けどそれは嬉しいとか楽しいとかの笑いとは違くて…何処か悲しそうで儚い。


だからか、目の前のその消え入りそうな表情が嫌で手を伸ばした。


指を頬からから顎に伝わして……特に何をする訳でもなく手を離した。


その言葉だけでどれだけ僕の気持ちが楽になるか。


やっぱり悟さんには助けて貰ってばっかだ……

その事実が僕に重く伸し掛る。


僕は…あんなに頑張ってきたのに悟さんとは同じ土俵に立ててすらないのだから。




いつか……僕が報われる日が来るのだとしたらそれはきっと悟さん達のおかげだろう。






力が緩んだ悟さんに今度は僕がソファに押し倒した。


僕の下で驚いている悟さんに抱き着くように倒れた。



『僕は…貴方に……貴方達に出逢えて本当に良かった。』



心の底から思った事だけ言って僕は悟さんの上から退いた。


そして逃げるように自室に戻った。



自室に戻ってもまだあの温もりが残っていた。

41→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す