あの日の壱馬 ページ1
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陸「……あのバイク昂秀のじゃない？」
北人が喉乾いたってうるさいから一階にある自販機に向かっていたら陸さんがそう言った。駐輪場を見ると昂秀のバイクに群がっている男女が数名。
北人「あちゃ〜、触るのはアウトでしょ。」
北人が注意しに行こうとした時、Aが校舎から飛び出してきた。
『昂秀がすごく大事にしてるバイクなんです。勝手に触ったり写真撮ったりするのやめてください。』
その凛とした声に息を呑む。助けられてばかりの女じゃないことに初めて気がついた。
陸「あ、やば。」
Aに気を取られて女が振り上げた手に気づくのが遅れた。怒りが込み上げ一歩踏み出した瞬間、拓磨が女の手を捻り上げた。てことは近くにあいつらもいるのか。
北人「セーフ。あの子 消されるところだったね(笑)」
陸「って言っても明日にはもう学校にもこの街にも居れないよ。喧嘩売った相手が悪かった。」
なんて傍観していると昂秀がAを抱きしめた。
「…あ"？」
陸「あらら〜 まぁ嬉しいよね、大切な子が大切にしてるもん守ってくれたら。」
北人「こらこら 壱馬、邪魔しちゃだめだよ。昂秀の気持ちも考えてやって。」
今にも飛び出しそうな俺の腕を掴んで
どうどう と馬鹿にしたように北人が言う。
「……うっさい、分かっとるわ。」
その時、Aが昂秀の背中に手を回したのが見えた。
は？なんで？意味がわからん。
お前の好きな奴は俺やろ？なに簡単に流されてんねん。
北人の手を思い切り振り払い2人に近寄った。
「何してんねん、」
Aは絶対誰にも譲られへん。
それがもし可愛がっている後輩だとしても。
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作者名：makana | 作成日時：2022年11月20日 18時
