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入間銃兎編 ダストボックスの住人Last Episode said Heroine ページ40

「さて、そろそろ12時になります。…覚えていますか。丁度、明日が付き合って3週間になります。」
『あ…。』
そうだった
私と入間さんは期間限定で付き合ってたんだ


この人と居る事に慣れてしまって忘れていた


「最後がこんな形で申し訳ありません。ですが、明日からは普通に暮らせますよ。」
なんで

なんでそんな安心そうな顔で笑うの


時計の秒針は少しずつ確実に進んでいく


『入間さんは…。』
「はい。」




『入間さんは何故、私と付き合おうなんて思ったんですか?』







彼は煙草を取り出し火を付ける







「…んなもん知るか。忘れちまった。」
『…呆れた。知らないと忘れたは違いますよ?』
「理由なんざねえ。ただ、無意識に言ってたんだよ。」


『…0時になりますね。』
「そうですね。」
『最後に一つ、いいですか?』
「えぇ。手短にお願いします。」




『貴方は、楽しかったですか。』
入間さんは目を伏せて煙を出す




「おい。」
『はい?なんで…っんむ』

入間さんに後頭部を掴まれてそのままキスを…

キス…?

『…!?』
私は必死に顔を離そうとしたが後頭部の手が力強くて離れられない

酸欠で息が苦しい
口が酸素を求めようと開かれる
その隙を待っていたかのように入間さんは舌を入れた

鼓膜にじゅるじゅると下品な水音が響く

私は目を薄く開いて涙を浮かべながら入間さんを見る


『(なんでそんな悲しそうな顔でキスするの。分からない。私、貴方が分からない。)』

濃いディープキスとは裏腹に表情は悲しみに歪んでいた



カチッと秒針が0に止まった







『強引な人ですね。合意もなしに…。』
「…キスをしたくなるくらいにはてめぇを好いていたって事だ。分かれよ。」
『分かりません。』
「あ?」
『貴方の本心が分からないの。』


好いているのなら付き合いたいと思うのが普通ではないの?
何故、別れる事を拒否しないの?


悲しそうな顔の理由が私には分からない



「…貴方は日の光が似合う人だ。」
『え?』
「ヨコハマの夜闇は深い。貴方が居ていい場所ではなかった。…恋人遊戯に付き合わせて申し訳ありません。」
その言葉に沸々と怒りが湧いてきた


『謝るくらいなら…!』

『謝るくらいならキスしなければ良かったじゃない…!』
私はイルカのキーホルダーを入間さんに押し付けて車を出た




私の両目から涙が溢れた

解放された安堵?
キスされた悲哀?
プライドを傷つけられた憤怒?
何れも違う


私の涙の理由はきっと−−

入間銃兎編 ダストボックスの住人Last Episode said Jyuto→←入間銃兎編 ダストボックスの住人Ep7 said Heroine



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おこめ(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!ほわぁっ!?こんな駄作を面白いと評価していただいてありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - タイトル見てすっ飛んできました。新鮮なお話でめっちゃ面白いです~!これからの展開が物凄く気になります。更新応援してます! (2019年12月10日 23時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 猫腹さん» コメントありがとうございます!凄く励みになります!頑張りまぁっす!! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
猫腹(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く好きです、頑張ってください (2019年12月7日 19時) (レス) id: 437f4e7ef6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おこめ | 作成日時:2019年12月5日 23時

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