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入間銃兎編 ダストボックスの住人Ep4 said Jyuto ページ34

俺は今、珠久里さんと水族館に来ている
水槽の魚を眺める彼女を横目に数日前の事を思い出す


左馬刻から薬の密売人の事で電話が来た日だ

「潜伏先が水族館だと?」
「ああ。そう頻繁ではないが確かに水族館へ魚を寄付すると同時に取引が行われてるらしいぜ。」
「…それは水族館全体で取引されてるのか?」
「いや。一部の従業員が受け取ってる。それもかなり上の地位の奴がな。」
「ッチ。水族館か、公共施設じゃねぇかよ。」
「さて、情報は吐いたんだ。こっちの望みを聞いて貰うぜ。」
「…ああ。」


左馬刻の通話を切り
思案する


水族館に潜入するのは容易い
だが、一般市民を巻き込むと面倒臭い事になる

俺とあと数人の部下の少数精鋭で乗り込むか

しかし水族館に入るにしても男一人だと怪しまれる可能性も


「そうか。アイツがいたな。」

俺は手早くLINEを打つ
デートしましょう
と、簡素な文字で


意外にもアイツは乗り気だった
だが、どこか訝しんでいた

裏があるのか、と

まあ無理もありません
恋人と言っても3週間限りの薄い関係です

鮫を見ていたら先日行ったレストランのフカヒレ料理を思い出した

夕飯にフカヒレを提案したのだがやはり怒られた
俺が悉く雰囲気をぶち壊すからか

随分と嫌われた物だな、と言ったら
珠久里はキョトンとした顔で

嫌いだったら来てない、と言う


その言葉にどうしようもなく高揚してしまったのは、きっと不意打ちだったから

嬉しいと思ってしまったのはそこそこ仲の良い女性だから

そう思い込む事にした





通りかかった売店で彼女が足を止め一点だけを見る


しかしすぐに何でもなかったように俺の後ろについて来た

何故買わなかったのか

彼女をプロファイリングするまでもなく分かった

彼女は時々、無理に大人振る傾向がある
あれを買うのは子供っぽいとでも思ったのでしょう





俺は腕時計を見て
今日の本当の目的を遂行する事にした


彼女をフードコートに待たせ
部下と合流する







密売人は呆気なく自白した
後処理を部下に任せフードコートに戻る途中
売店の前を通りかかった

彼女が見ていた硝子のキーホルダーを見つける

「やれやれ、こういう事をするのは柄ではないんだがな。」


俺は思ったより珠久里さんを気に入っていたようだ


彼女にキーホルダーを押し付けて水族館を出る

『〜♪』
彼女は上機嫌にキーホルダーを眺めていた

そんな安物の何が良いのか
理解出来なかったが不思議と俺は満たされた気持ちになった

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おこめ(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!ほわぁっ!?こんな駄作を面白いと評価していただいてありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - タイトル見てすっ飛んできました。新鮮なお話でめっちゃ面白いです~!これからの展開が物凄く気になります。更新応援してます! (2019年12月10日 23時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 猫腹さん» コメントありがとうございます!凄く励みになります!頑張りまぁっす!! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
猫腹(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く好きです、頑張ってください (2019年12月7日 19時) (レス) id: 437f4e7ef6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おこめ | 作成日時:2019年12月5日 23時

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