伊弉冉一二三編 君の酸素で息をするEp7 said Heroine ページ26
『簡単に、言わないで。』
「簡単に言ってない。俺っちマジだから。」
「そこまでにしておきなさい一二三君。」
「…寂雷先生。」
扉の前に寂雷先生が立っていた
「面会時間はとっくに過ぎてる。今日は帰りなさい。」
「でも…!」
「一二三君。」
「…っはい。」
一二三君は私をチラ、と見て病室を去った
『ありがとうございます。』
「…話は少し耳に入ってきたんだ。…君は記憶を取り戻したいかい?」
『…!思い出せるんですか!?』
「それは分からない。だが、私のヒプノシスマイクは人の異常状態を治せる物でね。もしかしたら治せるかもしれない、というだけだ。…試す価値はあると思うが君はどうしたい?」
『え…?』
「君は記憶を取り戻したいかい?忘れていた方が良かったと後悔はしないかい?」
『私は…。』
「ゆっくり考えなさい。明日の朝、もう一度来るからね。」
寂雷先生が扉に手をかける
『待ってください!』
「…もう答えを出していいのかな?」
『はい。…私、まだ怖いです。もしかしたら忘れていた方が良い記憶かもしれない。とてつもない犯罪者だったかもしれない。人を殺すような自分だったかもしれない。でも、』
『記憶から逃げたら罪を侵した償いすら出来ない。私はそれが一番嫌だ。』
「分かった。君の覚悟を尊重しよう。…では、良いね?」
『…はい。』
寂雷先生の心地よいラップが耳に入る
加減してくれてるのが分かる
その時、脳裏にある記憶が過る
1月の記憶だ
そう、そうだった
私と独歩は付き合っていた
恋愛が分からない同士の手探り状態
あまりにも拙い恋人関係だったけど
楽しかった
でも
総理大臣のヒプノシスマイクのせいで私は
『あ、れ?また、眠く、』
「!Aさん!」
said Heroine end
『何故、依代の記憶を取り戻したのですか。自分の仲間が大事ではないのですか。』
「君達にどうこうされるほど独歩君も一二三君も弱くないからね。今回は彼女の意見に尊重したまでだ。」
『理解、出来ません。貴方達人間は辛い過去を恐れる習性があります。何故彼女の辛い記憶を思い出させたのですか。』
「成程。合点がいったよ。君が彼女の記憶を消したい理由が。…彼女を苦しませない為だね?自分のせいで苦しむ彼女への罪滅ぼしのつもりかな?」
『…!!』
「しかし、彼女は君が思っているより強い子だ。オーバーヒートを恐れる?違うな。君は」
「彼女の心が壊れる姿を見たくなかったんだ。」
伊弉冉一二三編 君の酸素で息をするLast Episode said Heroine→←伊弉冉一二三編 君の酸素で息をするEp6 said Heroine
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おこめ(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!ほわぁっ!?こんな駄作を面白いと評価していただいてありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - タイトル見てすっ飛んできました。新鮮なお話でめっちゃ面白いです~!これからの展開が物凄く気になります。更新応援してます! (2019年12月10日 23時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 猫腹さん» コメントありがとうございます!凄く励みになります!頑張りまぁっす!! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
猫腹(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く好きです、頑張ってください (2019年12月7日 19時) (レス) id: 437f4e7ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おこめ | 作成日時:2019年12月5日 23時