観音坂独歩編 優しさの代償Last Episode said Heroine ページ16
帰るころには深夜の1時になっていた
「珠久里さんはどうやって帰るんですか?終電の時間過ぎてますし…。」
『それより朝の付箋、の話、』
もごもごと口ごもってしまう
「あ…。」
私は俯きながらポツポツ言う
『私、恋したことがないの…。』
「はい。」
『だからこの気持ちが恋か分からない。』
「はい。」
『でも、観音坂さんに告白されて嫌じゃなかった。』
「はい。」
『私、こんな気持ちになったの初めてなの。だから』
『責任、取ってください。』
「…脅迫じみてるな…。」
『だって、こんな気持ちにしておいて逃げるの?』
「…そっちが素なのか。」
『うん。…幻滅した?』
「いいや。」
「似た者同士だな。と思っただけだ。」
そうして二つの影が重なった
1月4日
一つの恋が実った
しかしこれは
地獄へのカウントダウンの始まりだった
その日から二人は会社では別段変わった様子はなかったが
休日には仲睦まじく街を歩く様子がうかがわれた
だが、それも急に終止符を打たれる
私は今度のデートに着ていく服を吟味していた
ピンポーン
インターホーンが鳴った
浮かれていた私は誰かと確認することなく扉を開ける
そこに立っていたのは
『そ、総理大臣…。』
「はい。珠久里A様のご自宅でお間違いはありませんか?」
『さ、様だなんて!恐れ多いです!』
「…そうですか。では、A少し貴方にお話が…。」
『あ、立ち話もなんですし中に入ってください。』
「では、お言葉に甘えて。…手間が省けます。」
『え?』
最後に見たのはマイクを持った綺麗な顔を歪めた泣きそうな顔の総理だった
「まだ幼い貴方にこんな事をさせてしまって申し訳ありません…。だからこそ、我々は停滞を許されないのです。貴方を殺してでも完成させなきゃいけない…、身勝手な大人たちを恨んでください。」
目が覚めたら病院だった
『いっ…!』
頭が痛い
ズキズキと悲鳴を上げる頭を抱える
汗が滝のように出る
私は必死の思いでナースコールを押す
「珠久里さん!」
「大丈夫ですか!?」
そして点滴を打ちようやく落ち着いた
「珠久里さん。ご自身の事はどこまで覚えていますか?」
『…私は珠久里A。ごく普通のOLで、昨日は友達と飲みに行く約束をしていて、恋人は』
『いたことがありません。』
観音坂独歩編 完
優しさの代償は
お互いの記憶
伊弉冉一二三編 君の酸素で息をするEp1 said Heroine→←観音坂独歩編 優しさの代償Ep7 said Heroine
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おこめ(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!ほわぁっ!?こんな駄作を面白いと評価していただいてありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - タイトル見てすっ飛んできました。新鮮なお話でめっちゃ面白いです~!これからの展開が物凄く気になります。更新応援してます! (2019年12月10日 23時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 猫腹さん» コメントありがとうございます!凄く励みになります!頑張りまぁっす!! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
猫腹(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く好きです、頑張ってください (2019年12月7日 19時) (レス) id: 437f4e7ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おこめ | 作成日時:2019年12月5日 23時