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◆
“ どう?ちゃんと思い出せたかな”
うん
“ よかった。しかし長かったでしょ”
そうだね
“ この物語の内容、覚えてる?”
さすがに無理
“ だろうね。まあいいよ。覚えてなくても、生きてればなんでも”
物語が違う方向に進んでも?
“ ありえないから、いいんだよ。最初から進む方向は決まってる。君はそれにちょっと干渉しながら、道をなぞるだけでいい”
運命ってやつだ
“ 君らの世界の言葉でいえば、それが近いかな。だから誰と親密になろうが、心配無用だ”
よかった。好きな人、いてもいいんだ?
“ いいとも。君以外の監視者も、別の世界で誰かと親密になったりね。自由にしてる”
ふうん
“ もう会うことはないけど、なにか質問は?”
私、いつまで生きてるの?
“ この世界が完結するまで。物語が完結すれば、君の不死は消えてなくなる”
寿命も?
“ まあね。役割が終われば”
そう
“ 他には?”
…ないかな
“ そう。じゃ、元気でね”
うん。あなたもね
“ …僕に、元気とかそういう概念はないんだけどね”
◆
ぱちりと目を覚ませば、見たことのある天井があった。
状況を把握したい。視線を動かせば、見たことのある間取りの部屋。豪華なベッドの上に、私は寝かせられている。
自分の部屋、ではない。ここは…
「あ、や〜っと起きた。心配したよ〜。大丈夫?」
「フェリド…」
タイミングよく、フェリドが部屋に入ってきた。そうだ、ここはこいつの部屋だ。
だんだん思い出してくる。優の脱走を手伝い、ミカは死んで、クルルという吸血鬼の女王にフェリドが圧倒され、私を抱えてその場を離れた。
そのまま意識を失って、あの白い空間に。
体感ではそこまで時間はくっていないけど、どれくらい寝ていたんだろう。
「君がいきなり倒れたのが昨日の夜。で、今も夜。丸一日寝てたんだよ」
「…で、なんでフェリドの部屋に運ぶの。なにか変なことした?」
「な〜んにもしてないよお」
にやにや笑っている。信用できないけれど、まあいいや。
ため息を吐いて上半身を起こせば、目の前まで来たフェリドが私を見下ろして口を開いた。
「それでね、君に、大事な話があるんだ」
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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時