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“ ” ページ46

“ やあ、やっとここまできたんだね”




白い世界だ。眼前に、雑多な渋谷の街が広がっている。





“ どう?懐かしい?”





人通りの多い交差点。そこを渡る一人の女に焦点が当たった。





“ ほら、君だよ。覚えてる?”





日本人らしい、黒い髪。真新しいスーツを着て、薄くお化粧もして、一人で渋谷の横断歩道を渡っている。





“ そうそう、ここだ”





歩行者通路を歩いていると、前から黒いジャージを着た猫背の男が歩いてくる。両手はポケットの中。





“ ここで、君は”





その男とすれ違いざま、とん、と体に衝撃があった。
見下ろせば、新品のブラウスに真っ赤な染みがじわじわと広がっている。






“ この世界から退場した”






体が傾いて、地面に落ちて、世界が黒く染まった。














…この光景は、なんだろう。












“ おはよう。こんにちは。こんばんはでもいいけど。不運だったね。ご愁傷様”





だれですか?





“ さあ?君は君、僕は僕”




…?





“ まあ、まあ、聞いて。用事があるんだ。まずはこれを見てほしい”





…あっ





“ 見たことあるだろ?君が好きな物語。そのものの世界だ。ここをね、君に任せたい”









“ ちょっと待ってね。説明が難しいんだ。えーっと、並行世界とか、パラレルワールドとか、そういうの。君の世界の誰かが描いたお話は、作り出された瞬間から、全く別のどこかで世界が始まる”





??





“ もしかしたら君の世界もそういう類のものかもしれない。誰にも把握できない、宇宙よりも広い世界の話だよ。で、世界を保つには世界を見る誰かが必要だ”












“ それを、君に任せたい。意味、わかる?”







なにをすれば…







“ 別に、なにも。ただ見るだけ。この物語が終わるまで。この世界が終わるまで。ただ見ていてくれたらそれでいい”






なんで、私?






“ 運が良かったからかな。それとも悪かった?理由なんてないよ。たまたま”











“ 拒否権はないんだ、残念ながら。もう決まってる。これからは好きに生きて。必要になるまで、ここの記憶も思い出さないから”






そっか






“ そうだ”






あなたはだれ?






“ 君の世界に僕を形容する言葉はないんだ”






そうなんだ。私には、神様に見えるけど







“ 信仰するようなものじゃない。じゃあね。いってらっしゃい”

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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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