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みか ページ38

フェリドの屋敷に住むようになってから、もうどれくらい経っただろう。正確には数えていないけれど、そろそろ四年は経った気がする。


 
この数年の間、私はクローリーとの約束を守って、フェリドに殺されたあの一件以来一度も命を落としてはいない。


フェリドもその約束を守るのを手伝ってくれて、たまに血を吸うことがあっても殺すまで飲むことはなくなった。


それに加え、なんだか私に対しての当たりが優しくなった気がする。紳士的というか。

最初は気色悪かったけれど、すっかり慣れてしまった今では、遺憾なことに以前より少し距離が縮まった。




変化といえばそれくらいで、基本的には変わらぬ体をもつ吸血鬼の屋敷で日々を過ごしながら、私は今日も暇を持て余していた。







いつも通りうろうろと屋敷の中を歩き回っていれば、進行方向に家畜の服を着た子供を見つけた。

十歳を少し超えたくらいの年齢で、外国の血を引いているのだろう金色の髪。見覚えのある顔に声をかける。





「ミカ君。今日も来たんだね」



「あっ、Aさん。こんにちは!はい、今日もフェリド様に血を吸っていただきに…」



「そっか。体調には気をつけて、無理しないようにね」



「はい!ありがとうございます!」





輝くような笑顔でそう答える少年の名前は、百夜ミカエラという。

この屋敷には、よく見目の整った少年少女がフェリドからの寵愛を受けようと訪れているが、このミカエラもそのうちの一人だった。



少し前、本当に暇で暇で仕方がなかった時に、日本人ばかりの家畜の中では珍しい金髪に興味を惹かれ、声をかけてみた。


最初は驚いた様子で警戒心が見え隠れしていたけれど、



「私もフェリド様のお気に入りの一人。服やご飯を恵んでもらってるけれど、あなたと同じ立場だよ」



と言ってあげれば、納得してもらえた。

私の外見年齢は十八、九歳くらいだけれど、今ウイルスで生き残った子供たちの最高年齢は十六歳。

背の低い私は、少し大人っぽく見えるだけだと言えば簡単に信じてもらえる。




それからというもの、屋敷でミカエラの姿を見かけては声をかけるようにしていたら、あちらも私に心を許してくれたようで、今ではすっかり親密だ。



子供は苦手だったけれど、この少年は年齢にそぐわず価値観が大人で、しっかりしていて、そんなところも好ましかった。

ぬるまゆ→←げーむ



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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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