せいかつ ページ27
そういえば私は、ここの子供たちの生活を何も知らない。
今まで気にならなかったわけではないが、知ったからといって何ができるわけでもなし。そこまで重要性を感じていなかった。
いい機会だし、少しそれを見てみるのもいいかもしれない。
「ここの子供たちは毎日血を提供するって聞いたけど、どんな感じなの?直接吸ってるわけでもなさそう」
「都市内では直接血を吸うのは禁止されてるからね。毎日決まった時間に集めて、専用の機械でウイーンと」
なんと、都市内では直接吸血はいけないことだったらしい。その割にはフェリドはその決まりを守っていない。不良だ。
なら食事はと聞けば、残飯のような粗末なものが配られているだけらしい。
たまに屋敷で見かける見目の良い子供たちは、フェリドに血を提供する代わりに食料などの必要なものを貰っているという。そういう仕組みだったのか。
「なるほど。なら私が屋敷でいい生活をしてるのも、血の対価だと思えば順当なのね」
「え〜、君の取り分が多すぎると思うけど。最近はそんなに吸ってないし」
「なら追い出す?友達でしょ?」
「友達って言葉利用してくるようになったね。これは参った」
互いに笑って、そんな話をする。
フェリドが本気で私を追い出す気になったら、「そんなこと言ったっけ?」なんて笑ってなかったことにすると思うから、今はこれでいい。
私としても、屋敷から出るとクローリーに会いにくくなってしまうから、追い出されるのは困る。フェリドの気が変わらないよう、これでも気をつけているのだ。
他愛ない話をして、時々ここの暮らしについての質問をしているうちに、いつの間にか都市を一周したらしい。
初めて隅々まで歩いたけれど、かなり広かった。一周するだけで何時間かかっただろう。
「久しぶりにこんなに歩いた」
「あれだけ毎日食っちゃ寝してたら、そりゃあね。ちょっと太ったんじゃない?」
「まだお腹は出てないけど…ここ体重計ないから、それが真面目に怖いんだよね。たまには運動します」
半分冗談、半分本気でそんな話をしていれば、もう目の前に屋敷の門があった。
「お帰りなさいませ、フェリド様。クローリー様がお見えです」
出迎えてくれた家畜の少女が、そんな事を言った。
やったあ、クローリーに会える!
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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時