知っていてほしい ページ37
小さい頃から、話せる友達がいないと言うわけではなかった。そこそこ人とは喋る方だったし、そもそも呪いの話を知らなかった時は人との距離なんて気にしていなかったのだ。
雄英に来たばかりの頃、お茶子ちゃんと友達になれたのが本当に嬉しかった。
嬉しくて嬉しくて、でもその気持ちとは反対に、私が死ぬまでなんとなく仲良くして、それでいざ私が死んで姿を眩ませればきっとすぐに忘れてしまうのだろう、と。
でもそんな気持ちはすぐに裏切られた。
毎朝「おはよう！」と、「また明日ね！」と、声を掛けてくれる彼女に、”なんとなく”以上の感情を見出してしまったのだ。
気がつけばもう遅くて、失いたくない。嫌われたくない。忘れられたくない。なんて、そんな欲張りな感情が心を支配した。
友達ができて、まるで普通の女の子みたいだった。
朝から会って挨拶して、休み時間にはたわいもない話をして、お昼は一緒にご飯を食べて、放課後は甘いものを食べながらどうでもいい話を繰り返す。
そんな日が楽しすぎて、私は「生きたい」と思ってしまった事を後悔した。
「…私ね、最初はね、距離を置かれると思って…ずっとずっと、言えなかったの」
まだ泣いているお茶子ちゃんの震える背中に回した手に少し力を込めて、震える声で言った。
お茶子ちゃんはバッと体を離して、真っ赤に腫れた目で強く私を見る。
「ううん、私ね、Aちゃんが勇気出して行ってくれたの本当に本当に嬉しい…っ」
「うん、わかってたよ。…ごめんね、本当に」
今日始めて、お茶子ちゃんと本当の友達になれた気がした。
お茶子ちゃんなら私が死んだ後もずっと、私の事を覚えててくれるだろうか。時々思い出してくれるのだろうか。
少しの寂しさを胸に、私は口を開く。
爆豪くんにも言っていない事。
お茶子ちゃんになら、話せる気がしたのだ。
「本当はね、呪いを解く方法はあるの」
期待、したのだろうか。お茶子ちゃんに言えばもしかしたら呪いを解く手伝いをしてくれるかも知れない。まだ生きていられるのかも知れない。
…いや、違う。
私の胸に秘めた溢れんばかりの思いを、お茶子ちゃんには知っていて欲しかったのかも知れない。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
