いつも、そう ページ22
「わかってんだよそんな事」
爆豪くんが自分の色素の薄い髪をくしゃりと乱暴に乱した。
やっぱりその様子からしても爆豪くんは、何かに腹を立てているようにしか見えない。
小さくため息をついた音が聞こえて、ぴくりと肩が揺れた。
「………今日からお前1人で外出すんな」
「え！それは無理があるんじゃ…」
「文句かよ」
「…………文句じゃない、けど…」
何度か似たような事は言われた気がするけれど、ここまではっきりと言われたのは初めてだった。
なにより、買い物を毎回爆豪くんと行くのも大変なのではないだろうか…。
それよりも私がどこかで倒れたり怪我をしたりする方がよっぽど大変と言う事だろうか。
「………別に怒ってねえし」
不貞腐れたように言ってそっぽを向いた爆豪くんの顔を覗き込むと、拗ねたような顔をしていて思わずクスリと笑ってしまった。
今までの沈んでいた気持ちが少し軽くなって、私は爆豪くんの肩に頭を乗せる。
「…重えわ」
「いつも迷惑掛けてごめんね」
「迷惑のうちにも入んねえ」
爆豪くんはいつもそう言ってくれるけれど、私はその一言にいつもいつも救われるのだ。
窓から差し込む陽だまりの中に紛れる、下校中の子供達の声が少しだけ私を寂しい気分にさせる。
あの日、入学式の日、私が早く登校していなければ、今日と言う日もなかったのだろうか。
「…あとね、いつもありがとう」
「……………」
何も言わない爆豪くんの顔を盗み見すると、爆豪くんは苦い顔をして眉を顰めた。
なんでそんな顔をするのかわからなくて、私は言葉を探す。
あと何度、お礼が言えるだろう。
私の気持ちは伝わっているだろうか？
…いや、きっと、私が死んでも私の溢れんばかりの感謝の気持ちや愛しい子の気持ちまで、爆豪くんには伝わらないのだろう。
それが少し寂しいような気もするし、伝わらない方が爆豪くんのためなんじゃないかとも思う。
「………爆豪くんっていつもそうだよね」
少し、爆豪くんの事を知った気になっていた。
けれど結局、私は爆豪くんの事をまるで理解できていないのだ。
爆豪くんがどうしてこんな顔をしているのかも、どうして私にここまでしてくれるのかも、私にはわからない。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
