不貞腐れた声 ページ15
お風呂を出ると、体温と部屋の温度差にぶるりと寒気がした。
慌ててドライヤーを探して、コンセントに挿す。
私はドライヤーで髪を乾かしていると、なぜだか目元がヒリヒリと痛んだ。
(職場体験も明日で終わりか…)
風邪で訓練を休んでしまったし、迷惑をかけてばかりで申し訳なくなった。
お茶子ちゃんだって、今頃ヘトヘトで頑張っていることだろう。
今からでも参加しようと思ったけれど、熱も下がった気配はないし余計に迷惑がかかると判断して訓練用の服に伸ばしかけていた手を引いた。
ちょうど髪の毛が乾いて、軽く櫛でとかす。
鏡に映る紫色の髪が見ていて嫌になった。
その時、プルルルと少し離れたベッドから携帯が鳴るのがわかった。
櫛を洗面所に置いて、携帯を手に取る。
「…はい？」
『……………』
「…あれ？もしもーし」
答えがないのを不審に思い、携帯を耳から離してディスプレイの表示を見ると、「爆豪くん」と表示されている。
今はまだ午前で、職場体験をしている爆豪くんは暇ではないはずなのにどうして私に電話を掛けてきたのだろう。それに私の声の返事もない。
「……えっと……爆豪くん…？」
『……………遅え』
やっと聞こえた声に安堵する。
けれどその安堵とは正反対に、爆豪くんは大層ご機嫌斜めのようだった。
不貞腐れたような声に一瞬ドキッとしてしまったけど、本気で怒っているかもしれない爆豪くんにそんな気待ちを抱くのは不謹慎かもしれないと思って小さく首を振る。
「…ご、ごめ…」
『…………3回掛けた』
「えっ…？」
携帯を耳から離して画面の通知を見ると、確かに『3』と表示されている。
不機嫌だったのは、何度も掛けたにも関わらず私が電話に気がつかなかったからのようだ。
通知を見る限り、私が起きる前から電話が掛かっている。呑気にお風呂なんか入る前に携帯を確認すべきだった。
「……あ…ごめん。お風呂入ってて気がつかなかったよ…」
『体調は』
「まだ熱が引いてなくて、今日はお休みもらった」
私は言葉とは裏腹にぼんやりと昨日の事を思い浮かべた。
昨夜の記憶は曖昧だけれど、あの時爆豪くんは確かに名前を呼んでくれた気がするのだ。
あれは気のせいだったのだろうか。
熱のせいで記憶が曖昧な事をすごく後悔した。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
