ショータイム と エンドロール

かっこいい ページ5

初めて彼のバンドのライブ映像を見て、開いた口が塞がらなかった。





｢こんなにかっこいいなんて聞いてないんですけど…｣


拓｢もーAちゃん、恥ずかしいからやめてや｣




恥ずかしいと言いながらずっとみそと遊んでいる彼。




普段はこんなに可愛いのにな。




画面の中の彼と、今目の前にいる彼が本当に同一人物か疑うほど。






ライブ映像はもう最後の曲で

最後に彼がかっこいい言葉を言った。





｢ねぇ、なに今の｣



拓｢なにが｣



｢よくできました、って！｣





勢いよく彼の方を向くと、彼もみそから目を離してやっと私の方を見てくれた。



でも、ちょっと恥ずかしそうな、嫌そうな顔。





｢かっこいいなぁ｣





また画面に目線を戻して呟くと





拓｢え、Aちゃん！｣




みそを抱き抱えながら私が座ってたソファの横に勢いよく座ってきた。




｢な、なに？｣



拓｢もっかい言うて！｣



｢なにを(笑)｣



拓｢今の！｣




ちょっと楽しそうにしながら顔を覗き込んでくる。




｢そ、そういうのは言わせちゃ意味無いでしょ｣



拓｢えー、Aちゃんからかっこいいなんて普段言われへんから嬉しかったのに｣





不貞腐れたみたいにみその頭をなでなでしてから


しょうがないか、って笑って私を見た。









かっこいいよ。




いつだって、かっこいいよ。






ふとした時に見せてくれる優しさも


幸せそうな笑顔も


真剣な表情も


名前を呼んでくれるその声も






｢いつだって、かっこいいよ。｣






不意に言ってあげると



散々言ってって言ったくせに



照れて少し赤くなった顔が目の前にあった。

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