ニノside ページ18
マンションについて、玄関のドアをあけた。
部屋に電気はついてなくて、真っ暗。
ちいさくため息をついた。
そのまま、リビングに向かう。
リビングのドアを開けたら、ふわっといい匂いがした。
キッチンに行くと、鍋にスープがあって。
それは、あの日に俺が作ったのと同じように具材は小さく切ってあって。
一口食べた。
もう、冷たい。
少し、悲しくなった。
そのまま、ソファに行って力なく座る。
ふと、テーブルを見たらメモがあった。
あわててそれを見た。
.
.
和へ
公園で話がしたいです。
待ってます。
.
.
.
Aの字を見るのは初めてだっけ？
なんて頭ではどうでもいいことを考えてしまったけど、
体はすぐに動いてて。
なにも持たずに、メモだけを握りしめて走ってた。
.
.
これ、いつ書いたんだ？
いつから、待ってる？
今、まだいるの？
.
.
もう、深夜二時になる。
くそっ！
早く、早く。
もっと早く動けよ、足！！
全力で走った。
近所の歩いてもたかがしれてる距離が、こんなに遠いと思ったのは初めてだ。
わずらわしい。
息があがる。
でも、ちゃんと呼吸する余裕はあるんだと、なんとなく思う。
公園についた。
目的地はあのベンチ。
書いてなかったけど、きっとあそこしかないから。
だんだん見えてくるベンチ。
でも、人影がなくて。
誰もいない？
走ってた足のスピードが一気に落ちる。
ゆっくりベンチに近づいた。
周りをみたけど誰もいなくて。
当たり前か。
もうこんな時間だし。
いつからいたのかわかんないし。
俺、来るの遅かったし…
ベンチに座った。
整わない息を、整えるみたいに上を向いて。
涙が出そうになったから、腕で目を隠した。
くそっ！！
なんで、早く帰らなかったんだ。
なんで…
なんで…
なんて、考えてたら。
ーー『大丈夫ですか？』ーー
って、声がした。
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作者名：空音
| 作成日時：2011年8月14日 0時
