同居人は有名人 6≪ﾆ/ﾐﾔｶｽﾞﾅﾘ≫ 完結 (ページ13)

今日:11 hit、昨日:32 hit、合計:1,019,842 hit

さようならページ13

ひとしきり泣いたあと、

先『落ちついた？』

って、先輩が言った。

『…はい。』

泣きすぎて、頭が少しぼーとする。

もう、日はだいぶ昇っていて、

結構な時間、ここで泣いていたんだなと思った。

.

.

『ありがとうございました。』

泣いてる間も、ずっとそばにいて笑っていてくれた先輩にもう一度お礼を言う。

先輩は笑った。

そのあと、

ゆっくり立ち上がって言った。

.

.

先『じゃあ、そろそろ行くよ。』

『…はい。』

先輩と目が合う。

私は、今できる一番いい笑顔をした。

先輩の中で、笑っている私を覚えていてほしいから。

先輩が笑う。
やさしい、やさしい顔で。

それから、ゆっくり歩き出した。

.

あ。

.

.

『あの！！』

大きな声で呼び止めた。
先輩がふりむく。

先『なに？』

少し、少しだけ…目がうるんで見えた。

『…いっこだけ、聞きたいことがありました。』

先『うん？』

『あのネックレス、私のために選んでくれたんですか？』

先輩が、少し驚いた顔をする。

『買わされたって言ってたけど…本当は…』

本当は、私を思って買ってくれたんですか？

かわいい、かわいい、ねこのネックレス。

私をおもって、私だけのために…

.

.

先輩は、照れたみたいに私から視線をはずして
少しだけうつむいた。

次に顔をあげたときには、笑って

先『もう忘れたよ、そんな昔のこと！！』

って。

いたすらっぽく笑った後、また穏やかに笑った。

小さく手をあげて、

『じゃあね。』

って、あのころみたいに

また明日。みたいなテンションで。

でも、もう明日はなくて。

お別れだけど。

私も、

『はい…。』

って、小さく手をふった。