過去の話。 ページ9
りょうくんは、
"なんでも聞くよ"と言って笑ってくれた。
「さっきあたしに聞いてたよね?ご両親はって」
り「うん、」
「あたし、お父さんいないんだ」
り「え、そうだったのか。ごめんね?」
「ううん。いいの。あたしの家族の話、聞いて欲しくて」
り「うん、聞くよ」
「あたしの両親は中学3年の時に離婚してるんだけど、お父さんはうまくいかなかった会社辞めちゃって、お酒ばっかり飲むようになった。
お母さんじゃなくて、あたしに暴力振るったりする事もあった。結局お母さんがあたしを守るためにって言って離婚することを決めたんだ。
でも、離婚してすぐ、お母さんはあたしの知らないお母さんになった」
り「…男か。」
「そう。毎日あたしが帰ってくる頃にはもう家にはいない。あたしが学校に行く時間には帰ってくるんだけどね。
あたしにお金貸してって言ってきたり、一回断ったらタバコ押し付けられたり、蹴られたりして。もう怖くて断れなくなっちゃって。お金のことじゃなくてもお母さんが機嫌悪くなったりすると暴力振るわれてて。
逃げ出したいけどそんなことできなくて…
って、ごめんね。こんな暗い話…」
り「…」
「えっ、ちょっ」
りょうくんは黙ってあたしの腕を掴んだ。
長袖のカーディガンを捲ると、
そこには無数の傷痕がある。
りょうくんはそれを見て目を閉じた。
あたしはとっさに振り払い
傷痕を隠した。
「汚いでしょっ…こんな傷だらけでっ…」
り「A、」
「真夏でも半袖着れないんだよあたしっ…」
り「もういいよ、」
「プールだって海だってっ…どこにもっ、」
り「Aっ!!!!」
「っ、!!」
りょうくんはあたしの名前を叫んだ。
我に返ってりょうくんを見上げると、
りょうくんは、泣いていた。
「え…りょうくん、なんで、」
り「もう、我慢すんのやめりんA」
「それは…」
り「さっきも言ったやん」
「え?」
り「俺らが絶対守ってあげるで」
「っ、」
り「もう我慢しなくていいから」
「ありがとうっ…」
りょうくんは、とても優しい人だ。
としみつくんに話すのは
少し不安だったりもするけど、
でも、きっと話せる。今のあたしなら。
り「今日はありがとう、また明日ね」
「こちらこそありがとう、また明日」
あたしはりょうくんを見送り、
携帯を見つめた。
164人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピンクのとり(プロフ) - 応援してます!更新頑張って下さい! (2020年3月27日 13時) (レス) id: f66f4367d9 (このIDを非表示/違反報告)
ふくちょー。(プロフ) - Knymal01さん» ありがとうございますー。緑落ち、、を狙ってます実は! (2019年8月4日 2時) (レス) id: 9ee0be3c4f (このIDを非表示/違反報告)
Knymal01(プロフ) - 応援してますー、是非落ちは緑希望です...! (2019年8月2日 23時) (レス) id: 437d9bd777 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユーカリ | 作成日時:2019年7月27日 2時