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「じゃ、そろそろ帰ろうか。」
課長がそう言うのが悲しかった。
もっと一緒にいたい。
でも
「そうですね。明日もお仕事ですから。」
そう言って笑うと
課長は眉間を指でポリポリしながら
「そんな顔すんなよ。」
ってちょっと困った顔をした。
寂しい顔になっちゃってたかな、私。
そのあとにも課長は何か言ったけど
店内に流れるハワイアンにかき消されて聞こえなかった。
ん？って顔して見たけど
課長は優しく笑って小さく首を振ったあと
「送るよ。」
そう言って立ち上がった。
お支払いはすでに済んでいて、
いつの間に？ってくらいスマート
お店の外に出て
「ご馳走様でした。すっごく美味しくて楽しかったです。」
「うん。また可愛い店探しとく。」
「ほんとですか？」
「あはっ。すっげー嬉しそうだな。よし、頑張ってAが喜ぶ店をおじさん探しちゃう。」
そう言いながら歩き始めた。
「だから、櫻井課長はおじさんじゃありません！」
課長の後ろから、ちょっと叫んじゃったら
課長はゆっくり振り返って
「ありがとう。」
って笑った。
「もう、おじさんとか言わないでください。」
「うん、わかった。」
「あと、私を子供扱いもしないでください。」
課長はクスっと笑って
「子供扱いなんかしてねーし。」
って、言った後
「腹ペコで我慢できなくなるから、帰ろう。」
って、ちょっと切なそうに笑った。
私は胸が痛くて痛くて
もしかして？と大胆に考えたりして
絶対に言わないと決めていた言葉が
口から飛び出しそうになってしまって。
「課長、私、、、」
そう言いかけた時
「あれ？Aだ！」
って後ろから大声がして
振り返ったら
「さ、智くん。」
「うん。久しぶり。」
1番会いたくない人が立っていた。
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作者名：ハルヒ
| 作成日時：2019年10月21日 20時
