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27.終わった ページ28
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帰宅して…
昨年春に、翔に貰った
熊のストラップの箱を手にとる。
箱から出すこともなく、毎日のように
手にとってリボンを撫で、小窓から
熊の顔を覗いていた。
もう、捨てようかな
いいかげん諦めなきゃ…
終わったんだ…
もう、すでに終わってたんだ…
リボンをひいて、熊を取り出す。
ストラップの先には、鍵がついてた。
え？
箱底のメッセージカードには、
懐かしい翔の字…
「遠恋用、合鍵、3ヶ月有効
仕事も、オレのことも
どっちも手に入れる覚悟が出来たら
連絡求む」
知らなかった…こんなメッセージ…
愛されてると感じてたのは
自惚れじゃなかったんだ…
3ヶ月どころか1年10ヶ月経ってる
そして、彼には大切な人が居る…
優しい顔で彼女の話をしてた…
遅かった…
ずっとずっと好きだったのに…
声に出して、わんわん泣いた…
だけど、ふと我にかえる
美しいのは私の武器だ
慌てて冷たいタオルで、目を冷やし、
そんな自分に笑う
こんなに辛いのに、
明日の仕事を気にして
ビジュアルを保とうとしてる…
強くなった…
新しいバレエ教室で
人見知りしてた頃とは違う
翔が私を変えてくれたんだ…
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作者名：まゆら | 作成日時：2020年1月12日 16時
