好きだった【S.S】 (ページ14)

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13.きっかけ2 ページ14

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私の自宅近くの
よく行く居酒屋さんで、
とりあえず乾杯する…
何か話すと涙が零れそうで
ピッチが早くなる

気づいたときには、
珍しく酔ってた。
ちょっとふわふわしてる。

まだまだ帰りたくないのに、
翔やんに会計された。

お店を出てふらつく私を
おぶってくれた背中があったかくて
甘えたくなる。

自宅、部屋の前で降ろされ、
大丈夫か問われたから
大丈夫じゃないって言ったら、
ソファまで運んでくれた。

「仕方ないから上がってやる。
お水持ってきてやる。
冷蔵庫に入ってる？開けるぞ。」

翔やんにお水を飲ませて貰って、
上着を脱がせてもらう。

お水を飲んだ分だけ涙がボロボロ落ちた。
気持ち悪くないか聞きながら背中を
さすってくれた翔やんに、
想いをぶちまける。

だけど、負けないって、
バレエより成功してやるって
虚勢をはる…

そんなに強くならなくていいんだって
甘えていいって言われて
ハグして貰ってトントンされる。

何度も言うけど、3つも歳下のくせに
包容力ありすぎ、生意気…

でも、この優しい腕の中の安心感
元彼への嫉妬や、寂しさより
あぁ、やっぱり、この男が好きだ
翔やんが好きだと再認識する。

弱ってるとこ、救われて、
相手は同情しかないのに、
彼の体温が離れていくのが怖い。

「甘えていい？」って懇願して
ギュッとして貰う。

一方通行でいいから、
私が東京にいる間だけでいいから、
この人のものになりたい。

好きだとは言えない。
そこまで、図々しくない。
彼からしたら、私は、
ぐいぐいくる姉さんであり、
バイトのパートナーであり、
ちょっとおこがましいけど親友…くらいかな。

私を心配して覗きこまれた瞳の近さに
照れ隠しもあって、おどけて、
「他に女が居てもいいから、私の男になって」
なんて言ってみる。
「俺、振られたの知ってんじゃん」

〝他に女が居てもいいから〟の部分だけ
反応され、後半はスルー…
確かに、振られた過去は聞いてた。
でも、これだけの優良物件
もうすでに完売？してても不思議ない。

でもまだ彼女居ないって聞いて
ちょっと素直に言ってみる
「あんたの前だと素直にいられるの」
見つめ合う、誘ったのは私。

「ガキだと思ってるから気楽なだけでしょ？」
かわされた…傷ついたのが顔に出ちゃう
「ガキなの？」
かろうじて、平静を装う

「試してみる？」
って応えたと同時に、男の顔が降臨した。

本当は好きで好きでたまらない男を
挑発して、抱かれた…。