【Prologue】 ページ3
．
コツコツコツ......。
ヒールの音を響かせながら、可愛らしいドレスの裾を揺らして廊下を駆け抜ける人間が一人。
そして、その後ろから迫り来る影が一つ。
窓から差し込む陽光。
廊下に敷き詰められた赤い絨毯。
そして豪華な装飾の施された屋内により、まるでそれは映画のワンシーンのようだ。
「―――お嬢様！！いい加減止まりやがれください！！！！」
だが、現実はそう素敵なものではない。
お嬢様と呼ばれた人物を追いかけながら、執事の男は声を張り上げる。
殆ど敬語が外れかかっている執事の眉間には、深くくっきり刻まれた青筋。
どうにも、お嬢様が突然稽古をしたくないと部屋から脱走したらしく、こうして屋敷内での鬼ごっこが始まったらしい。
今でこそこんなお転婆娘に育ったお嬢様だが、一応幼き頃から文武両道を叩き込まれた身。
ヒールを履いていれど、執事と互角の勝負をするのは容易いものだった。
「しつこいわよ伊沢！！今日のお稽古は出ないと約束したはずでしょう！！」
「そんな約束しておりません！！お嬢様の都合の良い妄想でございます！！！」
「お、お黙り！！しないと言ったらしないのです！！大人しく引き下がりなさい！！！」
「そういう訳にもいかないことはお嬢様がよくご存じでしょうが！！！！」
現在お嬢様を追いかけ回している執事の名は、伊沢拓司。
ここ、九条家に代々執事として仕えている家系の一人息子である。
その為、幼き頃から屋敷で住み込みの修行をさせられていた伊沢とお嬢様は、幼少期から時を共にしてきた仲。
彼らの間に主と従者という関係があれど、掛け合いはいつも痴話喧嘩を連想させるものばかり。
「また屋敷鬼ごっこを開催なされているのですか、お嬢様」
「福良！貴方、丁度良いところに登場しましたわね！今すぐ
「もーほんと人使い荒いなぁ」
お嬢様が廊下の角を曲がると、部屋の掃除を終えたのか、掃除道具をぶら下げた一人の執事が、運良く彼女の前に現れた。
彼の名は福良拳。
主に屋敷内の掃除を行っており、今日もまたせっせと仕事に励んでいた。
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白菜(プロフ) - あるてぃめっとさん» コメントありがとうございます！この作品のcssは自作ですね。フォントは『ほのか丸ゴシック』を使用させて頂いてます。参考にしていただければ幸いです！ (2021年3月30日 17時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
あるてぃめっと - こちらの作品でははじめまして（といっても覚えてないと思いますが…）今回も素敵な文章をありがとうございます。それともう1つ素敵なcssだなと思い…自作でしょうか？紹介がないので…もしよろしければ、使っているフォントを教えていただけないでしょうか？ (2021年3月30日 16時) (レス) id: 037db07d8a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Rukaさん» 私も書きながら「この関係性が尊いと思える感じにしたい」と思ってるので、そう言っていただけると嬉しいです！お嬢があんな子だからきっとこんな関係性が出来たんでしょうね。これからも彼らをほほえましい気持ちで見ていただけたら嬉しいです(笑) (2021年3月29日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - SALTさん» コメントありがとうございます！普段は文章詰め詰め野郎なので、今回の話は確かに読みやすいかもしれません(笑)応援ありがとうございます！ほんとにマイペースですが、これからもちょこちょこ更新していけれたらなと思います！ (2021年3月29日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - なんというか、お互い憎まれ口を叩きながらもお互いに好いているような関係が本当に好きです。お嬢はいつもこんなに暖かい空間にいるんだと思うと、なんだか微笑ましくなってしまいました笑 (2021年3月29日 16時) (レス) id: 323f90024b (このIDを非表示/違反報告)
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