# 花火の当日 _ 過去 ページ32
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花火の当日。
朝からお母さんは
バタバタと慌ただしく動いていました。
事情を聞くと
あの女の子が急変したそうです。
女性「 花火までには戻るから、
先に川辺で待っててくれる?」
「 はい、」
お母さんの心配そうな顔を見て
女の子が大変なことは分かりました。
だから無理は言わず、
私は一人で川辺に向かいました。
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花火が始まるまであと少し。
その時、ふと川辺の端に
白く花が咲いているのを見つけました。
真っ白な花に惹かれて、
無意識にそれを取りに行きました。
足元がよく見えないのに、
その女の子に渡したいと思って…。
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でも思ったよりも足元は最悪でした。
前日の昨日は
夜中まで雨が降っていたからです。
「 うわっ、」と声が漏れた時には
川に足を取られていて、
前日の雨で水量が増えた川は
あっという間に私の身体を飲み込みました。
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服を着ているから身体は重く、
どんなに川辺まで手を掻いても
身体は流されていきました。
水を飲んで、
息ができなくて、
死ぬんじゃないかとさえ思いました。
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「 たすけて…!!!」
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誰にも聞こえないと思いながらも
必死に声を上げました。
背後からはドンドンと
花火の音が聞こえて来て、
なんだかとても悲しい気持ちになりました。
結局私は一人なんだと。
助けてくれる人は誰もいないのだと。
両親に捨てられたあの日から
この運命は決まっていたんだと悟りました。
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目を閉じて
覚悟を決めたその時、
突然、誰かに身体を抱きしめられる感覚。
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手放しかけた意識の中で
最後に見えたのは、…お母さんでした。
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かに - めっちゃ感動して泣きました、、、。この作者さんの作品は初めて読んだのですが、ほかの作品も読んでみたくなりました。最後の結末が衝撃的すぎて今も泣いてる、、、。本当にこの作者さんすごいなぁと感じました。ありがとうございました! (2023年2月5日 10時) (レス) id: d660e5ad66 (このIDを非表示/違反報告)
yu_me_lovely(プロフ) - この作品を読ませて頂きました。今涙を流しながら感想を書いている最中です( •̥ ˍ •̥ )今まで出会った作品の中で1番泣いたかもしれません。ありがとうございました;; (2022年11月21日 23時) (レス) @page44 id: ef1fdc4916 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 出会うのが遅くアフターストーリーを見れなかったので望 穂さんのお気持ちやご都合などは計り知れないですが、アフターストーリーをこちらで公開して頂きたいです。不躾なお願いだとは分かっています(;;)これからもお身体には気をつけて過ごしてください! (2022年5月2日 22時) (レス) id: 1075a45258 (このIDを非表示/違反報告)
多胡春那(プロフ) - ツイッターのアカウントが出てこないんですけど。 (2021年4月25日 6時) (レス) id: a4579094f8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ - この物語、凄く素敵でした。目黒蓮担では無いのですが、この本を読んで本当に感動しました。涙がもう自然とでてくるほどとても良いお話でした。これからも小説作るの頑張ってください!応援してます! (2020年12月16日 19時) (レス) id: ca4aec0f0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:望穂 | 作成日時:2020年5月21日 0時