秘めた執事と病弱お嬢様《黒》*

# またすぐ会えるよ ページ20

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『 はあ、なんか久しぶり…！』


目黒「 元気になって何よりです。」








何週間かぶりに

自分の部屋に戻ってきた。








パパが帰って来てから

体調が格段に良くなった気がする。








…って言っても熱が下がっただけで

病気がどうこうなったわけじゃないけど、




やっぱり家族の存在って大きいのかも。









目黒「 油断して抜け出すのは禁止ですよ？」


『 分かってるよ〜。
…もう、ホタルも見れないだろうし。』









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気付けばもう8月も終盤。




きっとホタルたちはもう

あの川辺にはいなくなってる頃。








夏祭りのあの日見たホタルが

もしかしたら最後だったかもしれない。




そう思うとなぜか

胸に込み上げてくる、悔しさと悲しさ。









…来年の今頃はどうなってるんだろう。









目黒「 また何か考えてますね？」


『 えっ…、なんで？』


目黒「 顔が不安そうなので。」


『 …いつもこの顔だよ。』








そんな気持ちだけは

相変わらず目黒にお見通しだった。








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涼太「 じゃあ、また来月帰って来るから。」


『 え、本当に？』


涼太「 20歳の誕生日だからね。」


『 …ありがとう。』








実は20歳の誕生日はもう目の前。








ここ数年は

パパも忙しくて会えなかったけど、




今年は一緒にお祝いしてくれるんだって。








でも、それは何で？




20歳って成人になる節目だから？








…それとも、

今年が最後かもしれないから？








『 …パパ、』


涼太「 ん？」


『 会えて嬉しかった、…ありがとう。』


涼太「 またすぐ会えるよ。」








私の身体を包み込んで

優しく囁いてくれるパパ。




低くて落ち着いたこの声が昔から好き。








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またパパとも

花火見に行きたかったな、なんて




そんな気持ちは心の奥にしまった。

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