百三話 ページ6
-main side-
メインルームのいつもの場所。
スティーブンがデスクに向かうのを眺めながらソファに座り込んだ。
「ひどい‥顔?してるの?」
膝にのせたソニックに小さく問うと、ギルベルトがショートケーキを私の前に置いた。
「誰かの誕生日でもあったの?ギルベルト」
ギ「いいえ、こちらはスティーブン氏があなたの退院祝いに先程購入したものです」
小さく私に伝えると、ギルベルトはニコ、と微笑んで持ち場に戻った。
ショートケーキの苺をつつくソニックを見、次いでスティーブンを見た。
こちらに気づいているのか、
それとも気づいていないのか、
こちらが見えないのか、
それともこちらを見たくないのか。
「‥いただきます」
"あえて"話し掛けず、私はショートケーキを口に含んだ。
それは、永く生きてきた天使が食べてきた中で、一番の幸せの味がした。
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-No side-
ここはライブラ。
天使が舞い戻ってきてから二日目。
HLの天変地異的な事件は耐えることはない。
からこそ、守護天使は役目を果たしたいのだ。
「私もつれていって!」
ス「駄目だ。君はまだ病み上がりだろう、ソニックと待っていなさい」
「嫌よ!私はもう大丈夫だし、皆と一緒に戦えるだもん!」
だから、と少女は言葉を紡いだ。
言いかけて、止めた。
"お前、番頭と同じくらいひどい顔してっから"
ス「‥行かないでくれ」
少女の肩に置かれた大きな掌は、
ひどく冷たく、重くのし掛かる。
「‥もういい」
少女はその手を除け、メインルームを足早に出ていった。
表情は見せず、"彼"をメインルームに残して。
ス「________ウィ、スティーブン。あぁ、今行く」
スカーフェイスもまた、メインルームを後にする。
天使の部屋には雪のように白く羽が舞い、
天使の頬にはガラス玉のような滴が伝う。
一方で、
現場へ向かう彼は、
水にインクを垂らしたように、
酷く顔を濁らせた。
________
天使が首もとの包帯に触れた。
解いて鏡を見て触れる。
そこには、締め付けられたであろう痕が赤く濃く残されていた。
"嗚呼、実に滑稽だ"
そうして少女は、自嘲気味に鏡に微笑んだ。
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アンネ - 主ちゃんの心とかスティーブンさんの想いとかがとてもわかりやすくて面白かったです!これからも活動頑張ってください! (2019年3月9日 17時) (レス) id: 67a1c3a937 (このIDを非表示/違反報告)
鈴巴 - 主ちゃんが仲間と一緒にいて少しずつ、でも大きく成長していくのが読んでいてとても楽しかったです!これからも活動頑張って下さい!(^▽^)/ (2018年6月16日 22時) (レス) id: ad3d79f394 (このIDを非表示/違反報告)
ししょー(プロフ) - 心の雨と虹の空@現在低浮上ぎみさん» ご指摘ありがとうございます。大変失礼しました。 (2018年2月9日 21時) (レス) id: 23ac3f6a39 (このIDを非表示/違反報告)
心の雨と虹の空@現在低浮上ぎみ(プロフ) - オリジナルフラグ、外してください。 (2018年2月9日 20時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししょー | 作成日時:2018年2月9日 20時