【銀魂】シスコンな兄の尻拭い９ 【柳生篇】

兄妹離れは　なかなかできないもの　五 ページ7

「きゅ、九兵衛君その言い方は誤解招くから……わっ」

　土方がAの手を掴んで後ろに引く。

　九兵衛はそれを見て眉を寄せた。

「オイお前、お妙の次はAか？節操のねーヤローだな」
「……節操がないのは君も同じじゃないかい？お妙ちゃんを指名したそばからAを抱くなんて……虫唾が走る」
「ッ！？」

　九兵衛は距離を詰めると土方を押し退けてAの手を引き抱き寄せる

「この人はこれから、僕の姉になる人なんだ」
『ハァァァ！？』

　九兵衛の一言に、Aを除いたその場の全員が驚きの声を上げた
　戦は額に青筋を浮かべて彼に抗議する。

「おいチビ！黙って聞いてりゃなに勝手なこと」
「ああ……君か。君と会うのも随分久しいな。まだ生きてたんだ、A戦君」
「アア？」

　煽るような九兵衛の発言に、煽り耐性のない戦は殺気のある目でメンチを切る。
　すぐにキレる彼を見て九兵衛は呆れていた。

「君は相変わらず妹離れできてないんだね」
「うるせー。一生してやるかそんなモン」
「……君のその想いは叶いにくい難しいものだと思うけど」

　九兵衛は少し間が空いて、戦の目を見た。

「その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ。さっさとAから離れろクソガキ」

　二人が睨み合い空気がひりつく。
　周りでは他の客や店の者たちも怯えた様子でいて、土方が口を開いた。

「てめーら他人の店で危ねェ空気作ってるんじゃねーよ……とりあえず座れ。Aがお前の姉になるっつー話、しっかり聞かせてもらおうじゃねーか」

　土方は若干、苛立ちと怒気のある目を九兵衛に向けていた。

　ひとまず、お妙と九兵衛が暴れたことで散らかった店内を片付け、九兵衛を含む全員が席に座った

　最初に口火を切ったのは戦だった。

「それで。どーゆーことだ？Aが九兵衛の姉になる話なんざ、俺は聞いたこともねェが」
「話せば長くなるけど簡潔に言うなら、数年前に僕らで立てた誓いが理由だよ」

　九兵衛はスナックの居心地に慣れないながらも、戦の疑問に答えた。
　続けてAが詳しい説明をする。

「四年前、幕府の計らいで九兵衛君の柳生一族と剣を交える機会が作られたの」
『柳生家！？』

　その名前を聞いた何人かは驚いて声を上げていた。

「その時に私が勝って以降、次期当主である九兵衛君の剣術指南役として柳生家に雇われてたんだけど……」
「当時、僕は彼女との間に圧倒的な力の差を感じてね。三年前に武者修行の旅に出たんだ」

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