好きな人に集る男を嫌いになるのは人の性 二 ページ43
いくつか部屋を抜け、新八がパンと勢いよく襖を開け続けた。
しかし、開けた先の部屋で土方と北大路が卓に向かい合って食事をしていてAたち三人に無音の間が生まれる。
「あ、スイマセンお食事中」
「間違えました」
「ごゆっくりどうぞ」
新八と近藤、Aはスーと静かに襖を閉じた。
「ってちげーだろ!何やってんだトシぃぃぃ!!」
近藤がパンと勢いよく襖を開けてツッコんだ。
「腹が減っては戦もできぬ。どうだ?貴様らも」
北大路が食事しながら誘った。
「敵の作った料理なんて食えるかァ!!つーかお前さっきも食ってなかった!?」
「土方さんアンタ何のんびりくつろいじゃってるんですか!?四人でそいつやっちゃいましょうよ!」
「オイてめーら余計な手ェだすなよ。こいつは俺のチャーハンだ」
「チャーハンかいィィ!!」
一対一を邪魔されたくないのかと思いきやチャーハンの話で新八がツッコんだ。
土方と北大路の様子にAは呆れていた。
(何やってんだこの人たち……あれ?待てよ、この二人って極度の……)
「ちょっとケチャップ取ってくれ」
「ん?コレか」
緊張感など微塵もないなか北大路が食べながら話しだした。
「日常の全てが己の精神を鍛える修行だ。土方十四郎よ。貴様にはあるか?己を縛る鎖というものが」
北大路はケチャップの蓋を開け、逆さまにして勢いよくオムライスにぶっかけた。
「ケチャップ!?」
「オムライスにケチャップをあんなに……」
(ああ……これはまずいぞ……)
驚く新八と吐きそうになる近藤に対して、Aは見慣れた様子で、しかし土方に目を移して何かを悟ったように目から生気がなくなっていく。
「一つ言っておこう。俺は周囲から生粋のケチャラーと思われているが、実はトマトの類が大の苦手。見るだけで吐き気がする」
「これが俺の鎖。嫌いなものを過度に食すことで屈強な精神を作る。今では苦手だったトマトも大好きになりトマトにケチャップをかけるほど」
《それもう修行じゃなくてただの不摂生!!》
新八と近藤は胸中で思いっきりツッコんだ。
(北大路君……ケチャップかけすぎるとそれはもう料理の味を殺してただのケチャップになるんだよ。北大路君が食べてるそれはオムライスじゃなくてケチャップだよ。ケチャップを丸ごと口に咥えて飲む行為に、何か固形物の食感が加わっただけだよ)
Aは内心でツッコみながら遠い目をしていた。
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刹那*桜(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!! (2022年12月27日 20時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメ失礼します!! めっちゃ面白いです!! これからも頑張ってください! (2022年12月26日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - あたりんさん» ありがとうございます!! (2022年11月20日 0時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年11月14日 16時) (レス) id: c0f0373936 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - 花香さん» コメントありがとうございます!9個もあって長いですなか一気に読んでいただきありがとうございます!!わりと読みづらい所もあるかと思いますが好みと言ってもらえてとても嬉しいです!!(;ω;) (2022年11月7日 23時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年11月7日 0時