【銀魂】シスコンな兄の尻拭い９ 【柳生篇】

チンパンジーは馬鹿だが器用だから油断はするな　五 ページ39

「てめーを」
「Aのトコに」
『行かせてたまるかァァァ！！』

　二人とも叫び、神楽が目の色を変えて俊敏に西野の攻撃を避ける。

　が、しかし上の沖田は全く動けていなくて全部当たっていた。

「オイぃぃぃ！！避けてるの下の奴だけで上の奴、全部当たってるぞォ！！」

　西野は思わずツッコんでしまうが彼の振り上げた刀が天井にめり込んでしまった。

「なっ！」
「この時を待っていたぜ。狭い室内で長い獲物を高い的狙って振り回すなんざ愚の骨頂よ」

　沖田は顔が傷だらけになりつつ刀を構えた。

「バカな！！全て計算で拙者を……！！」
「いけェェェ！！」

　沖田の声ともに神楽が西野に向かって走り出す。

　が、しかし沖田の顔面が部屋の境目の縁に思いっきりぶつかり、ゴガンと大きな音を立てた。

「あ゛あ゛あ゛あ゛！！」

　沖田が後ろに倒れ、それに引っ張られて神楽も後ろに転んでしまう。

「策士策に溺れるとはこの事よ！！死ねェェ！！」
《まずい！！》

　前から容赦ない攻撃が降ってきて、沖田と神楽は目を見開き避けきれないと痛みを覚悟した。
　しかし奥の部屋から人間が二人猛スピードで吹っ飛んできて西野の後頭部に直撃した。

『！』
「かはッ！？」
「オイオイお前ら何やってんだよ。こちとらザコとしか遭遇しなくて退屈してるって言うのによー」

　奥から戦が刀を肩に当て気怠そうにして歩いて来た。

「ガキのチャンバラじゃねーんだぞ」
『戦！！』

　沖田と神楽は乱入者に驚いて名を呼んだ。

「お前ら戦えんのか」
「いや……俺はチャイナに足の骨折られたんで動き回るのはできそうにないでさァ」
「私はこのガキに手首折られて左手しか使えないアル」
「……いやお前ら何してんの。こんな短時間で仲間割れするなよ」

　二人とも互いに相手にやられたと言っていて戦は呆れる。

「A戦ァ！！久しぶりだなァ！」
「んあ？ああ……四天王の西野か。いつぶりだったか、お前らとは随分前に一回手合わせしたキリだな」

　西野に話しかけられて戦は三年前を思い出す。
　九兵衛が修行に出るまで、九兵衛や柳生一門の指南を任されたAに戦がついて来ていた。

「久しぶりに相見えて早々だが、今回も拙者が勝たせてもらうぞ」
「いつも勝ってるみてーな言い種だなァ。俺の記憶じゃ、負けることはあっても勝つこともあったはずだが」

　戦はたまに四天王たちと手合わせすることがあり、何度か勝利を収めている。
　それでも何度かは負けていた。

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