神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 八 ページ10
「人間というものは、よく分からない……私は力を持っている。鬼以上のバケモノであると、お前も感じるのではないか?」
Aはさらに強く刀を圧す。
圧されて少し足が下がるが道信は決して刀を離さず、彼女から目をそらさない。
「ええ。ですが貴方の輝きを血で濁すのは、私たちの本意ではないのです――『星人』よ」
「お前……」
道信はAの正体を確信して言葉に出した。
資料や人から教えられることなしに、そこまで辿り着く者はいなかった。
Aは驚いた表情を見せる。
「ですから戻ってきてください、Aさん」
道信は優しい声で柔らかい笑みを浮かべた。
押し合っていた刀の力が緩んでいき、Aは手から刀を落とす。
赤い瞳の濁りが晴れるが、そのまますぐに気を失って倒れてしまった。
道信が慌てて彼女の体を支え、土方たちがそこに集まってAの容態を見る。
返り血は大量に浴びているものの、本人に外傷は全くない。
病院で治療途中だった傷までなくなっていた。
新八と神楽もAの元に行き、彼女の無事が確認できると二人とも一気に号泣しだした。
銀時と戦がため息をついて宥めるが、沖田が神楽に茶々を入れてそれに彼女がキレて、ギャーギャーと騒がしくなる。
気を失ったAを病院まで連れていかねばならないが、誰が彼女を抱き上げるかでまた揉めてしまった。
公平にジャンケンをすることになり、最後に土方が勝ち残った。
彼はAを姫抱きし、リングから歩いて出た。
「今回は面白いものも見れたな」
上階から天導衆の男が銀時を見てフッと笑う。
銀時は真選組の隊士達に浪人と間違われたのか、捕まっていてギャーギャー騒いでいた。
「ククク、それにしても……黒の死神をこの目で見ることができようとは」
天導衆は、気絶して土方に抱き上げられているAへと目を移す。
フードの影響で顔は見えず、正体はまだバレていないようだった。
「いずれその力、必ず我が物にして見せよう」
そう呟いて天導衆はその場を去っていった。
「ほんとに死なずにいてくれて良かった」
建物の屋上で道信は一つ息をついて言った。
「あんな大怪我してたのによく生きてるもんだな」
「ちょっと、非現実的すぎますねィ」
土方と沖田はAが鬼獅子にやられて病室に連れていかれたとき、見舞いに来て彼女の容態を見ていた。
だから短時間で無傷の状態まで回復していることに違和感を覚えていた。
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時