慕ってくれる人の好意なんて当人には計り知れない 二 ページ41
「ん?」
銀時は襖から定春が覗いているのに気づく。
「お前も出ていって良いんだぞ」
定春は銀時に近づき、彼の袖口に鼻を近づけて中から手紙を取って咥えた。
「……めざとい野郎だな。アイツの匂いがすんのか」
銀時はしゃがんで定春から手紙を返してもらう。
「コレでよかったんだよな。俺も親子ってのがどーいうもんなのかよくわかんねーが……これでよかったのさ」
そういう彼の顔は、浮かない表情を付けていた。
――
『転送中に機体が揺れることがございます。シートベルトをしっかり巻き……』
宇宙船のアナウンスを耳に流し、神楽は船の席に座っていた
その表情はどこか呆然としていた
宇宙船の貨物庫にて、ハタ皇子の従者のじいが船員をこき使い培養槽のような物を運ばせていた。
培養槽の中にはえいりあんたちの死体が入っていて、ハタ皇子の大事なコレクションらしい。
じいが後のことは船員に任せて戻ろうとする。
しかし床の段差につまずき、培養槽を巻き込んで倒して盛大に転けた。
ガラスの割れる音がして培養槽のガラスが砕ける。
「皇子の宝物がァァ!」
「チッ、邪魔くせーなガラクタが」
「皇子の宝物ガラクタって言った!!」
騒ぐ船員にじいはキレて、皇子にバレないようすぐさま隠蔽しようとしていた。
「アレ、これの中身どこいった?」
じいは割れた培養槽に何も入っていないのに気づいた。
「え?知りませんよ。中になんか入ってたんですか?」
「そこにあるのと似たようなのが入ってたはずなんだが」
「え゛!こんな化け物が!?」
「おかしいな。ただの死骸がひとりでに……ん?」
じいの上から何かの気配がして。
天井に、ドロドロとしたえいりあんの塊がこびりついていた。
「ちょっ、ダメですってば!ここからはチケットないと通れないの!」
「警察呼びますよ!」
宇宙船の出入り口で、新八は警備スタッフの二人に取り押さえられていた。
「ふんごぉお!」
新八は抵抗して何とか宇宙船に乗り込もうとする。
(神楽ちゃん。僕は君のことを知らない。でも……)
(君がどれだけ、万事屋を好きかってことは知ってるよ)
(君がどれだけ、銀さんとAさんを大切に思ってるかは知ってるよ)
(だって……)
――僕も君とおんなじだから。
新八は息を吸うと、警備スタッフ二人の鼻の穴に指をかけて、二人同時に背負い投げした。
「すいまっせーん!!」
急いでその場を去り神楽の元に向かった。
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時