神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 三 ページ5
「幕府の犬だ!ズラかれェェ!!」
浪人たちは焦って逃げ始め、闘技場が騒がしくなる。
しかし真選組が一斉に動き彼らを取り押さえた。
――
江戸の病院で、お妙は風呂敷を片手にAの病室に向かっていた。
「まったく……新ちゃんたち皆、仇とってやるって息巻いてますよ。私も張り切って差し入れ作りすぎちゃいました」
お妙はある女性に向けた呟きをこぼしながら、人のいない寂しい廊下を歩く。
「確かに大事に思う自覚はあったけど、いざこういう状況になった時の苦しさが……ここまでとは思わなかったですよ、Aさん」
儚い笑みを浮かべ、お妙はAのいる病室の扉を開いた。
部屋の中を見て彼女は目を見開く。
「え……Aさん?」
白いベッドには誰もいない。
意識を失い管に繋がれて、いつ死んでもおかしくない状況なはずのAは、姿を消していた。
――
「面倒ごと起こしやがって」
「世の闇は深いもんですねィ、土方さん」
事が落ち着いたと思ったその時
沖田が何かを察知して、銀時のいる後ろを振り返った。
「!旦那後ろッ!!」
沖田が叫び銀時が後ろを見ると
「!」
気絶から意識の戻った鬼獅子が、金棒を振り上げていた。
銀時の反応速度より速く、重く固い金棒が銀時の体躯に降りかかる。
ポタポタと血がこぼれ落ちる。
しかしそれは銀時のものではなく
「!お前……」
目の前で立っている、黒い羽織を着た人物の血だった。
フードで顔は見えず小柄で背も低く、女か子供のようなその人物は、手で鬼獅子の金棒を受け止めていた。
手のひらに金棒の棘が刺さっていて、赤い血が真下に落ちて水溜まりを生む。
銀時と戦は、その人物の顔を見ずとも誰か分かった。
昔に戦争で見た、あのバケモノである。
その人物は手に力を入れ、金棒をいとも簡単に粉々に粉砕した。
鬼獅子は片手で武器を破壊されて驚き、目の前の者の顔が見えて動揺した。
「貴様ッ、なぜだ!わしは確かに貴様の心臓を潰したはず!」
羽織の人物は地面に落ちていた刀の柄を足で踏み、飛ばし上げて手に握る。
瞬間、刀身に紫の線が刻まれた。
「!まさか貴様は、星……」
言い切る前に、鬼獅子の巨体が刀で真っ二つに切り裂かれた。
黒い羽織の人物は鬼獅子を横斬りにした後、下からさらに斬り上げた。
大量の血が勢いよく飛び散る。
『!!』
銀時だけでなく天導衆さえも、そこにいた全員がその光景に目を見開いた
神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 四→←神は鬼を殺さず暴徒を砂状へと化す 二
116人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時